急性肝炎の症状を簡単に説明!クマ肉、鹿肉はE型肝炎に注意!

健康

今回は急性肝炎についてかんたんに説明していきます。

肝炎はA型、B型、C型、D型、E型があります。

発生の割合はA型が約45%、B型が約25%、C型が約10%でその他が約20%です。D型は日本ではまれです。

原因

A型肝炎

A型肝炎は経口感染します。

生牡蠣など生鮮魚介類の摂取によるものが多いです。時期的にも2月、3月の発症が多いです。

初期には患者の便中にウイルスが排泄されるので、それによる二次感染も起こります。

60代以上の約90%は、抗体(IgG型HA抗体)があるので再感染することはありません。

しかし若年者では抗体を持っている人が10%以下とされています。

B型肝炎

B型肝炎は血液感染します。

感染者の血液、体液への曝露などで感染します。出産のときに赤ちゃんに垂直感染します。

劇症化しやすいですが、発生件数は減少してきています。

劇症肝炎は脳症が出現する重篤な急性肝障害です。肝萎縮、肝機能低下、意識障害がみられ、致死率は70〜80%になります。

C型肝炎

C型肝炎も血液感染します。

感染者の血液への曝露で感染します。

輸血や、今ではありえませんが注射器の再使用で感染します。

B型とC型は肝炎が慢性化し、肝硬変、肝癌に移行することが多いです。

E型

E型肝炎は経口感染します。

北海道や東北で感染例が増加しています。

クマ、鹿、イノシシなどの獣肉の生食によるものが多いです。

症状

無症状のものから、劇症肝炎として意識障害をきたすものまでさまざまあります。

自覚症状として発熱(A型)、関節痛(A、B型)、全身倦怠感、食欲不振、右季肋部(肝臓があるとこ)痛があります。

他覚症状として皮膚や眼球黄染褐色尿が認められます。

初期症状は風邪のようなことが多いです。全身倦怠感が強く、褐色尿が出てきたら肝機能検査をおこなうといいでしょう。

診断

肝細胞障害のマーカーである血清AST、ALTが上昇します。

マーカーとは、正常細胞や良性疾患からは産生されずない、または少量で、発症したときに特異的に産生される物質です。

血清アルブミン(栄養状態判定の指標)は重症度によって低下、プロトロンビン時間(血液凝固に関与)は延長、血清ビリルビン(ヘモグロビンの代謝産物)は上昇します。

血清ウイルスマーカーによって成因を確定します。

A型はIgM型HA抗体陽性になります。

B型はHBe抗原、HBs抗原陽性となり、経過とともに陰転化してHBc抗体、HBe抗体、HBs抗体が出現します。

C型はHCV-RNAを測定します。

これらが該当しない場合は他のウイルスマーカーを測定し、他の原因(自己免疫性肝炎、薬物性肝炎、ウィルソン病など)を除外します。

治療

安静、高タンパク、高カロリーの肝庇護療法、肝庇護薬(グリチルリチン製剤、ウルソデオキシコール酸)を投与します。

予防としては、A型肝炎では免疫グロブリン投与で約3ヶ月間の予防効果があり、HAワクチンも用いられます。

B型ではHBワクチンを投与します。感染が疑われたら48時間以内にHBs抗体高力価免疫グロブリンとHBワクチンを投与します。

また、A型肝炎では、生鮮食品の加熱調理、手洗いの励行、B、C型では血液に触れないことも重要です。

予後

A型は慢性化せずに治癒します。しかし高齢者では劇症化することがあります。

B型も通常は劇症化しませんが、変異型ウイルスに感染すると高確率で劇症化します。

また副腎皮質ホルモンや免疫抑制薬を服用中の患者や欧米型B型肝炎ウイルスに感染した場合は慢性化することがあります。

C型は60〜70%が慢性化します。

まとめ

肝炎はA、B、C、D、E型がある。

A、Eは経口感染、B、Cは血液感染する。

B型肝炎は劇症化しやすく、B、C型は慢性化しやすい。

タイトルとURLをコピーしました