関節リウマチは、多発性関節炎を主症状とする全身性の炎症性疾患です。
今回は関節リウマチについてかんたんに説明します。
参考にしてみてください。
目次
関節リウマチとは
関節リウマチは、自己免疫疾患により発生する全身性炎症性疾患です。
滑膜の異常増殖に伴い、炎症性肉芽(パンヌス)が形成され、軟骨や骨の破壊が進行します。
また、関節周囲の支持組織の破綻も起こし、最終的には運動機能障害をもたらします。最悪の場合、寝たきりになることもありえます。
女性に多い
関節リウマチは20〜50歳代の女性に多く発生します。
60歳以上の高齢発症では男女差はほぼありません。
リウマチの症状
まず手の指の関節と第2関節(MP、PIP)の腫脹、疼痛で発生することが多いです。
第1関節(DIP)には異常は少ないです。
両側性の発生が多いですが、片方だけの場合もあります。
手のほかにも、足、膝、肘にも発生します。
朝のこわばり
朝方に手指がこわばる感じもします。これは関節リウマチの特徴的な症状です。
指の変形
手指は尺側(小指側)へ偏位します。
指はスワンネック変形、ボタン穴変形などの変形がみられます。
最重症型はムチランス型といわれ、オペラグラス手を呈します。
足では三角変形、マレットトゥーがみられます。
関節症状のほかにみられる症状
腱鞘炎を起こすこともあります。
肘や坐骨、後頭部など骨が出ているところに皮下結節(リウマノイド結節)を作ることもあります。
既存の関節リウマチに血管炎をはじめとする関節外症状、難治性、重篤な臨床症状を認めるものを悪性リウマチといいます。
筋力低下などの筋症状も認めます。
シェーグレン症候群の合併として、強膜炎、ドライアイ、唾液分泌障害もみられます。
心嚢炎、間質性肺炎、腎障害、骨粗鬆症などもみられることがあります。
関節リウマチの血液検査所見
血液検査では以下の所見がみられます。
赤沈亢進
CRP上昇
抗CCP抗体陽性
抗核抗体陰性または弱陽性
リウマノイド因子陽性(正常者でも1〜5%が陽性)
MMP-3高値
ガンマグロブリン増加
血清補体値低下
白血球減少(初期は増加)
鉄欠乏性貧血
血小板増加
関節液の性状
関節液は増量します。
淡黄色やや混濁します。
粘稠度は低下します。
関節リウマチの治療
未だ治療法、予防法はありません。
治療の基礎として、適度な運動、休息などの生活指導になります。
薬物療法
治療の中心は薬物療法を行います。
NSAIDS、ステロイド、MTX(メソトレキサート)、抗サイトカイン療法(抗TNF-α剤)などがあります。
NSAIDSは非ステロイド系消炎鎮痛剤です。代表的な商品名はロキソニン、ボルタレン、セレコックスなどです。
消炎鎮痛作用はありますが、炎症の進行や関節破壊を止めることはできません。
長期投与は胃腸障害、腎障害の可能性があります。
ステロイドも長期投与は危険です。少量でもステロイド性骨粗鬆症の危険があります。
NSAIDSやステロイドの効果は一時的で、中長期的な効果はあまりありません。
抗リウマチ薬
そこで、MTXなどの抗リウマチ薬がよく使われます。
MTXに抗TNF-α剤など抗サイトカイン療法を併用すると効果が増強します。
しかし高価で、免疫力低下などの副作用もあるので慎重な使用が必要です。
まとめ
関節リウマチは、自己免疫疾患により発生する全身性炎症性疾患。軟骨や骨の破壊が進行する。
女性に多く、手指の変形、朝のこわばりが特徴。
未だ完全な治療法、予防法はないが、抗リウマチ薬に期待。
しかし副作用に注意が必要。