ふくらはぎの肉離れは、内側の筋腱移行部に多く発生します。筋腱移行部とは筋肉から腱へ変わろうとする場所です。
加齢と運動不足によって筋肉の柔軟性が低下した中高年に多いです。
受傷時にはときにバチッとはじけるような音がすることもあります。ふくらはぎのほぼ中央内側寄りに痛みや腫れがあります。
今回はふくらはぎの肉離れの症状とケアなどについて書いていきます。
目次
ふくらはぎの肉離れで損傷される筋肉
ふくらはぎの肉離れで損傷されるのは腓腹筋という筋肉です。
腓腹筋は内側頭と外側頭があります。肉離れは一般的に内側頭に発生しやすいとされています。
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腓腹筋
起始 大腿骨内側上顆、外側上顆
停止 アキレス腱を介して踵骨隆起に停止する
作用 距腿関節の底屈、膝関節の屈曲、距踵関節と距踵舟関節の内反
支配神経 脛骨神経
発生
ふくらはぎの肉離れはテニス、バスケットボール、バレーボールなどジャンプするスポーツに多く起こります。
受傷時は誰かに蹴られた、またはボールが当たったような感覚を覚え、ときには断裂音を聞くこともあります。腓腹筋の肉離れの発生頻度は10%前後です。
症状
痛みの部位
ふくらはぎの中央の内側よりに腫れと痛みがあります。重症の場合は受傷直後であれば、陥凹を触知することもあります。
運動時の痛み
抵抗に対して足関節を自動的に底屈することが困難になります。また、ストレッチをしても局所に痛みを伴います。
皮下出血
受傷翌日には皮下出血が重力によって足関節付近まで降りてくることがあります。
軽症例の見落としに注意
若年者の軽症例では、足がつった程度の感覚のことがあります。しかし翌日には腫れが増していき、痛みも出てきて歩行が困難になることもあります。
治療
RICE処置
受傷直後からRICE処置が重要です。アイシングや圧迫、挙上によって腫れを最小限に食い止めましょう。受傷後24〜48時間の間はアイシングを入念に行うといいでしょう。
ストレッチ
受傷後3日以降からは症状を見ながら無理のない範囲でストレッチを開始していきます。
はじめは座った状態から体重をかけないように行っていきましょう。
ある程度、関節の可動域が戻ってきたら立位でのストレッチに移行するといいでしょう。
可動域回復後の筋力トレーニング
ある程度の可動域が回復したら、筋力を戻してあげましょう。初期は等尺性収縮によるトレーニングを行います。
すべての可動域で等尺性収縮を痛みなく行えるようになれば、求心性収縮、遠心性収縮のトレーニングを取り入れていきます。
負荷をかけない状態から、少しずつ負荷を増やしていきましょう。
復帰について注意と予防
どんな怪我にもいえることですが、筋肉の柔軟性と筋力が十分に回復しないまま復帰すると、再発を繰り返すので焦ってはいけません。
ふくらはぎのストレッチはもちろん、日頃から運動前のウォーミングアップと運動後のクーリングダウンを心がけましょう。
また怪我からの復帰には栄養状態も重要です。筋肉の材料であるタンパク質、コラーゲンの合成を高めるビタミンCを意識して摂取していきましょう。