じっとしているときは特に何ともないけれど、歩いたり、太ももを内回し(内旋)させたりすると股関節の付け根や前方が痛むことありませんか?
また、太ももの中央や膝の上らへんの内側あたりのぼんやりとした嫌な痛みを感じたことはありませんか?
しかもそれがなかなか治らない。もしかしたら大腿骨の疲労骨折かもしれません。
山の神といわれた神野大地選手も大腿骨の疲労骨折を経験しているように、長距離ランナーに多いといわれる疲労骨折です。
目次
疲労骨折とは
普通の骨折(外傷性骨折)は1回の大きな外力によって発生します。
疲労骨折はそれとは異なり、骨の同じ部分に繰り返し加わる外力によって起こるものです。
大きな外力ではなくても、繰り返し力を加えられることで骨の疲労現象をきたすのです。よく金属疲労に例えられます。
針金なんかを何度も折り曲げていると、いつかは折れてしまいますよね。それと同じようなことが骨にも起きているのです。
疲労骨折はどの年代に多いの?
10代は注意
どの年代にも発生しますが、スポーツを盛んに行うこととまだ骨の発育期であることから10代に多いです。
この頃はまだ骨が成長しきっていないので、骨の強度が成人に比べて弱いことが理由に挙げられます。
高齢者も注意
スポーツを盛んに行う10代が多いのですが、骨が弱くなっている高齢者も注意が必要です。
大腿骨の疲労骨折
今回は大腿骨(太ももの骨)の疲労骨折について簡単に書いていきます。
ひとことに大腿骨疲労骨折といっても骨の部位によって分けられます。
大腿骨頸部疲労骨折骨折
大腿骨頸部とは骨盤(寛骨の寛骨臼)と関節している大腿骨頭の下方の部分です。おおよそ股関節の付け根あたりです。
この大腿骨頸部に亀裂が生じるもので運動時や内旋させると痛みがあり、ときに太ももの中央や膝関節まで痛みが放散することもあります。
基本的には高齢者の女性に多いとされています。しかし、若い人(10〜30代)でもやはり繰り返し外力が加わる長距離ランナーに多いです。
大腿骨骨幹部疲労骨折
大腿骨の骨幹部とは大腿骨の中央部です。同じ骨幹部でもさらに近位(上の方)、中央、遠位(下の方)で分けられます。
いずれも内側に発生しやすいです。また、大腿骨骨幹部疲労骨折といっても痛みを感じる部位が膝の上あたりが多いのも特徴です。
発生頻度が多いのはやはり長距離ランナーです。その他にもストライドを大きくとる中距離やハードルの選手にも多いといわれています。
恥骨の疲労骨折も股関節や太ももに痛みが出ることもある
骨盤を構成する骨の一つの恥骨も疲労骨折を起こします。
恥骨の疲労骨折なので股関節の痛みは当然ですが、ときに太ももにも痛みを感じることがあります。
発生頻度は高くはありませんが、10代の女性に多いとされています。
時期的には、進学によって運動環境が変わり活動量が増加する5、6月頃に多いです。
疼痛誘発テスト
疲労骨折の初期はレントゲンに写らない
疲労骨折の厄介なところは初期段階ではレントゲンに写らないので発見が遅れるということです。
そのため、すぐに安静にしていればいいものを、レントゲン上の異常がないことからトレーニングを続けてしまいさらに悪化させてしまうことがあります。
疼痛誘発テストで早期発見を
疼痛誘発テストは、特異的な力を加えて、あえて痛みを誘発させることで病態を判断するものです。
大腿骨骨幹部疲労骨折の場合はフルクラムテストとホップテストがあります。
フルクラムテスト
イスなどに座らせて、痛みがある太ももの下に他者の腕などを下敷きにし、さらに膝部を下方向へ押します。
そうすることで大腿骨を上向きに反らせる力が発生し、痛みが誘発されるテストです。
ホップテスト
痛めている脚で片足立ちになりジャンプすることで痛みを誘発します。恥骨の疲労骨折を判断する場合にも有効です。
治療
基本的に痛みが出る動作(ランニング)を中止させます。衝撃の少ない水泳やエアロバイクはやっても大丈夫です。心肺機能が落ちすぎないように気をつけましょう。
疲労骨折は治りが悪いことで有名です。元の競技レベルに戻るまで大腿骨近位・中央部の疲労骨折でおよそ3.6ヶ月±1.2ヶ月、遠位骨幹部疲労骨折でおよそ4.3ヶ月±1.7ヶ月かかるというデータもあります。
焦ってもいいことはないので、今は休む期間だと割り切るくらいの気持ちでいた方がいいです。
まとめ
大腿骨疲労骨折は長距離ランナーに多い!
太ももや膝の上の内側あたりに発生しやすい!
完治は遅いけど、焦っては絶対ダメ!