急性糸球体腎炎の原因、症状、治療法などについてかんたんに説明します。
参考にしてみてください。
急性糸球体腎炎とは
先行する感染のあと、一定の潜伏期間をおいて腎臓糸球体に急性の炎症を起こし、血尿、タンパク尿、乏尿、高血圧、腎機能低下などの症状を急激に発症する疾患です。
先行感染はA群β溶血性連鎖球菌が多いです。
急性糸球体腎炎の症状
先行感染を伴い、1〜6週間の潜伏期のあとに発症します。
顕微鏡的血尿は必発の症状です。約1/3は肉眼的血尿を呈します。
タンパク尿は軽度のことが多いです。
初期には浮腫がほぼ全例に見られます。
乏尿は、浮腫の発現より2〜3日先行して起こります。通常は一過性です。
50%以上の患者に血圧の上昇を認めます。重篤なものは少ないようです。
検査
①尿検査
顕微鏡的血尿は必発です。
尿沈渣では、変形赤血球および赤血球円柱が見られます。
タンパク尿もほぼ全例で見られますが、軽度です。半数は1ヶ月以内、多くは6ヶ月以内に消失します。
②腎機能
初期にはほとんどの症例で、糸球体濾過量が低下します。
血清クレアチニン、血中尿素窒素は上昇しますが、多くは一過性です。1週間以内に改善します。
③血清補体価
一過性の低補体血症がほぼ全例に見られます。
補体価は症状の改善とともに2週間以内に上昇し、8週以内に正常化します。
治療
治療の主体は対象療法になります。
保温、安静は腎血流量の維持のために重要です。
特に初期の1〜2ヶ月は入院および自宅安静が望ましいです。
その後も1年間は激しい運動や妊娠は避けましょう。
また、急性の浮腫や腎機能障害の認められる期間は、水分、食塩、タンパク質、カリウム摂取制限が必要になります。
薬物療法は、浮腫が強い例や心不全の兆候が見られる場合に利尿薬を用います。
高血圧が持続する場合も降圧薬を使用します。
予後
ほとんどは自然に炎症症状が消失します。
臨床的な改善傾向が発症後4日〜14日に認められます。
通常、上昇した血清クレアチニン値は4週以内に正常化し、タンパク尿も2〜3ヶ月、血尿も6ヶ月程度で消失します。
まとめ
急性糸球体腎炎は、先行する感染のあと、一定の潜伏期間をおいて腎臓糸球体に急性の炎症。
血尿、タンパク尿、乏尿、高血圧、腎機能低下などの症状を急激に発症する。
安静が大事。また、食塩、カリウムなどの摂取制限による対象療法、症状が強い場合は薬物療法を用いる。
ほとんどは自然に炎症症状が消失します。