軟部腫瘍についてどんなものがあるのかかんたんに説明します。
参考にしてみてください。
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目次
悪性軟部腫瘍
悪性軟部腫瘍は発生頻度別には、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫があげられます。
成人では、脂肪肉腫がもっとも多いです。
小児では、横紋筋肉腫、次いで滑膜肉腫が多いです。
良性か悪性かの判断は困難
症状のみから、腫瘍の良性・悪性を判断するのはむずかしいです。早期から専門医へ相談しましょう。
MRIによって、腫瘍の広がりや神経血管束への浸潤の有無を把握し、良性か悪性化を推測することが重要です。
必要であれば、針生検や切開生検によって組織学的に確定診断を行います。
遠隔転移が認められる症例では化学療法、手術不能例などでは放射線療法が適応となります。
良性軟部腫瘍
脂肪腫
もっとも頻度が高い良性腫瘍です。
体幹や頸部、大腿の皮下にできやすいです。
脂肪腫が大きくなったり、筋層の深部まで到達していると悪性化のリスクがあります。
血管腫
毛細血管が増殖した毛細血管腫と、毛細血管が拡張した海綿状血管腫が多いです。
皮下浅層などの表層に形成されたものは幼少時に発見されることが多いです。
筋肉、骨、関節内にも発生し、時に疼痛を伴います。
多発性の血管腫は、播種性血管内凝固(DIC)などの合併症に注意が必要です。
神経線維腫症
レクリングハウゼン病という遺伝性の疾患で多発します。この場合カフェオレ斑という特徴的な皮膚のあざがみられます。
重症の場合、全身に腫瘍が多発し、呼吸器や臓器を圧迫すると、良性腫瘍でも命に関わります。
神経鞘腫
末梢神経や馬尾神経の神経鞘から発生します。
被膜を有した良性腫瘍です。
神経にさわって、疼痛や放散痛などの神経症状を生じることもあります。
グロームス腫瘍
指先や爪床に発生します。
小さい腫瘍ですが、強い疼痛・圧痛、放散痛があります。
非腫瘍
ガングリオン
ゼリー状の粘液物質が内容物の嚢胞です。
関節部や腱鞘の周囲にできやすいです。
ガングリオンは自然消失することもあります。
神経を圧迫するものや疼痛が強いものは切除手術を検討することもあります。
粉瘤(アテローム)
表皮の一部が皮下に迷入し、増殖・腫瘤形成したものです。
内部には異臭のある物質が蓄積しています。
皮脂腺の多い後頸部、背部、殿部、耳の周囲にできやすいです。
感染を伴うと疼痛や発赤があります。
まとめ
悪性軟部腫瘍は良・悪性の判断がむずかしいので早期に専門医へ相談。
良性の脂肪腫でも、大きさや深達度によっては悪性化する可能性もある。