ランニング中に肋骨が痛むことはありませんか?
もしかしたら肋骨骨折かもしれません。
今回はランナーにも多い肋骨の骨折についてかんたんに説明していきます。
目次
肋骨骨折の発生
肋骨骨折は外力を受けやすいので発生しやすい骨折のひとつです。
小さい子供の肋骨は弾力性に富むので、骨折はまれです。
なので子供の肋骨骨折は虐待による損傷を疑います。
直達外力での発生が多い
肋骨骨折は直達外力での発生が多いです。
転倒して肋骨を打つ、衝突などによって発生します。
肋骨が胸郭内方へ向かって折れてしまいます。
介達外力
ほかに介達外力によって発生します。
前後、または左右から肋骨が圧迫されたときに、外力と直角方向に胸郭外方に向かって折れてしまいます。
桶を両サイドから圧迫したときに、桶がたわんで圧迫されていない上下の部分で折れてしますイメージです。
また、高齢者では骨粗鬆症の影響で発生します。
咳やくしゃみで折れてしまいます。
ゴルフのスイングでも疲労骨折として発生します。
好発部位
肋骨は12対計24本あります。
その中でも肋骨骨折が多いのは、第5〜8肋骨で、特に第7肋骨に多いです。
ゴルフスイングによる疲労骨折では、非利き手側の第2〜9肋骨に多く、特に第5、6肋骨が多いです。
症状
疼痛
深呼吸、咳、くしゃみで痛みます。
骨折部に限局した圧痛があります。
胸郭を前後、または左右から圧迫すると、骨折部に介達痛があります。
体幹の屈曲、伸展、側屈、回旋によって骨折部が痛みます。
軋轢音(あつれきおん)
痛みがある部分に手を当てて、深呼吸すると骨折部の骨がこすれて軋轢音を確認できることがあります。
転位や変形は少ない
骨折部の転位や変形は骨折の診断がわかりやすいですが、肋骨骨折は転位や変形を認めないことが多いです。(2本以上が同時に骨折する多発骨折の場合を除く)
肋骨骨折の合併症
肋骨骨折には危険な合併症が発生する場合もあります。
ときに命の危険があるので注意が必要です。
胸郭動揺(フレイルチェスト)
一本の肋骨が2ヶ所以上で折れ、隣接する数本の肋骨に及ぶと胸郭の支持性がなくなり胸郭動揺が見られます。
これにより呼吸困難になります。
外傷性気胸
胸壁の内側と肺を覆う胸膜が損傷され、胸膜腔に空気が溜まってしまう状態です。
肺が縮んでしまうので呼吸ができなくなります。
血胸
胸膜腔に血が溜まってしまう状態です。
呼吸困難、循環血液量低下による血圧低下、意識障害も起こることがあります。
内臓損傷
第11、12肋骨の骨折では腎臓を損傷することがあります。
血尿がある場合は腎損傷を疑います。
また、右の肋骨骨折では肝臓の損傷も疑われることがあります。
固定方法
肋骨骨折は基本的に予後良好です。
固定して安静にしましょう。固定期間は約3〜4週間ほどです。
固定方法は絆創膏を下から上へ重ねるようにして貼っていきます。
貼るときは深く呼吸させ、完全に息を吐ききった状態から貼っていきます。
この時、体の正中を超えた健側から貼り始めます。
絆創膏のかぶれなど皮膚のトラブルには気をつけましょう。
まとめ
肋骨骨折は直達外力に多い
子供の肋骨骨折は虐待を疑う。高齢者は骨粗鬆症によって咳、くしゃみでも発生する。
肋骨骨折は第5〜8肋骨、特に第7肋骨に多い。疲労骨折では第2〜9肋骨、特に第5、6肋骨
合併症に注意!