膝の痛みは股関節の病気が原因の場合があります。まずは整形外科で診てもらいましょう。
今回は股関節の疾患について書いていきます。
目次
ペルテス病
子供の膝の痛みでまず注意したいのがペルテス病です。
ペルテス病は骨端症のひとつです。骨端症とは成長期にある骨端部が壊死を起こす病気の総称です。
ペルテス病では大腿骨頭の壊死を病態とします。大腿骨頭とは大腿骨の部位名称で、骨盤と関節している部分です。
症状
3〜12才の子供に生じます。特に4〜9才が好発年齢です。
男の子に多いのも特徴です。
初期にかばうような歩き方、膝周辺の痛み
初期症状ではかばうよな歩き方(跛行)が見られます。これは痛みを回避するために見られます。
痛みを訴えてくる場合は、股関節部分よりも太ももの下の方や膝の前方が多いです。ペルテス病の原因は股関節なのでいくら膝を診ても病気を発見できないので注意が必要です。
予後
骨壊死は2〜3年かけて修復します。一般的に発症年齢が低いほど予後良好とされています。
化膿性股関節炎
乳児、特に赤ちゃんに発症することが多いです。免疫機能の低下した低出生体重児は注意しましょう。
黄色ブドウ球菌が起炎菌となることが多いです。
症状
発熱が見られます。股関節の炎症なので、赤ちゃんの場合オムツ交換時に号泣します。症状が進行すると腫脹、発赤も見られます。
股関節は、屈曲、外転、外旋位を呈し、運動制限もみられます。
関節に膿がたまり股関節の病的脱臼(拡張性脱臼)を起こすこともあります。
早期発見、早期治療を
関節の軟骨や骨が損傷されます。すぐに治療して組織の損傷を最低限に止めることが重要です。
単純性股関節炎
子供の股関節疾患の中では頻度が高いものです。
症状
3〜10才の男の子(特に5〜7才)に多く発生します。左右どちらかの関節のみに発生することが多いです。
ペルテス病同様、かばうような歩き方をしたり、股関節外転、外旋位を呈します。股関節や太ももあるいは膝の痛みを訴えることがあります。
また、股関節の可動域制限があり、屈曲位からの内旋制限、屈曲拘縮による伸展制限も見られることもあります。
微熱になることもある
単純性股関節炎では微熱を伴うこともあります。
予後
安静にしていれば2週間程度で症状はおさまります。
大腿骨頭すべり症
思春期の肥満気味の男の子に多く見られます。
症状
20〜40%で両方の股関節に発生することもあります。
発症の経過によって急性型、慢性型、慢性型の経過中に急性悪化するパターンがあります。
急性型
サッカー、バスケなど急激なストップ・ターンや、軽度な外傷をきっかけに強い股関節痛が起こります。
痛めた方の脚に体重をかけることができなくなり、可動域制限、運動時痛が強くあらわれます。
慢性型
慢性型では、かばうような歩き方を主訴とします。股関節や太もも、膝の痛みもあり、運動負荷によって悪化します。
その他の症状
症状が強いものでは、股関節が外旋拘縮を呈します。股関節を曲げたり内側へ回旋したりできなくなります。(屈曲、内旋制限)
痛めている方の大腿骨の大転子が高くなります。トレンデレンブルグ徴候(痛い方の脚で立つと、骨盤の水平を維持できず浮かしている脚の方へ傾く)も見られます。
合併症として大腿骨頭壊死、軟骨壊死などもあります。
まとめ
膝の痛みの原因は股関節のこともある!
早期発見、早期治療が大事!
放置すると、組織が壊死したり、変形性股関節症になるものもあるので注意!