肺炎は、肺胞領域の急性疾患です。
肺結核は結核菌による感染症です。
肺気腫はタバコを主とする有害物質の長期曝露によって生じた肺の炎症です。
今回はこの3つについてかんたんに説明します。
目次
肺炎
原因
細菌、ウイルスが主な原因です。以下のものがあげられます。
①市中肺炎・肺炎球菌、マイコプラズマ、クラミジア
②院内肺炎・緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
③誤嚥性肺炎・嫌気性菌
④日和見肺炎・緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、アウペルギウス、ニューモシスチス、サイトメガロウイルス
徴候
呼吸器症状として、咳、膿性痰、呼吸困難があります。
全身症状として、発熱、倦怠感があります。
診断
血液検査で白血球増多、CRP上昇。
胸部X線・CTで、浸潤影、すりガラス影。
喀痰培養、尿中抗原検査もあります。
治療
抗菌薬を用います。また、必要により酸素吸入、捕液をおこないます。
予後
重症度により異なりますが、高齢者の重症肺炎では予後不良です。
肺結核
原因
原因となるのは結核菌です。
徴候
発症はゆるやかで慢性に経過することが多いです。
呼吸器症状としては、咳、痰、血痰、呼吸困難です。
全身症状としては、発熱(当初は微熱)、体重減少、倦怠感がみられます。
診断
血液検査で白血球増多、CRP上昇、赤沈亢進。
胸部X線・CTで浸潤影、空洞影、粒状影。
チールネルセン染色陽性なら結核菌PCR検査追加。
インターフェロンγ遊離試験陽性。
治療
抗結核薬(イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトール、ストレプトマイシン)を用います。
予後
治療期間は長いですが、比較的予後良好です。しかし、耐性菌の場合は治療に難渋します。
肺気腫(慢性閉塞性肺疾患・COPD)
原因
多くはタバコの煙によるものです。
その他に大気汚染、呼吸器感染症が関与するといわれています。
α1アンチトリプシン欠損が原因となることもありますが、日本ではまれです。
症候
症状として、咳、痰、労作時呼吸困難。
樽状胸郭、呼気延長、口すぼめ呼吸。
肺野の鼓音を聴取、呼吸音減弱があります。
診断基準
気管支拡張薬投与後の呼吸機能検査(スパイロメトリー)で1秒率<70%。
胸部X線で肺の過膨張。肺野の透過性亢進、横隔膜の平低下、滴状心など。
治療
禁煙が最重要です。そのほか抗コリン薬、β2刺激薬、吸入ステロイドなど薬物療法、酸素療法があります。
予後
気道閉塞の程度に影響します。
COPDの併発疾患によって死亡する場合があります。
まとめ
咳、膿性痰、呼吸困難、発熱、倦怠感は肺炎かも
微熱で発症し血痰が出たら肺結核かも
COPDは禁煙が大事!