子供の首、顔が傾いているときにまず考えられるのが、斜頸と環軸椎回旋位固定です。
今回はこれらの症状についてかんたんに説明します。
参考にしてみてください。
目次
斜頸とは
斜頸とは、さまざまな原因で顔を傾けている状態をいいます。
筋性斜頸、炎症性斜頸、眼精斜頸、骨性斜頸があります。
筋性斜頸
斜頸の中でもっとも発生頻度が高いです。
筋性斜頸は、胸鎖乳突筋が瘢痕、線維化して短縮するため発生します。
出生時に胸鎖乳突筋内に硬結を触知します。分娩時の外傷が原因と考えられています。
筋性斜頸の症状
出生時の向きぐせで気づかれます。
胸鎖乳突筋内に腫瘤を触知します。
反対側への側屈、同側への回旋が制限されます。
斜頸位が続くと頭蓋、顔面の非対称が顕著となります。
筋性斜頸の治療
多くは自然に消退し、斜頸は改善されます。6ヶ月ほどで90%は自然治癒します。
しかし、一部は硬結部が線維化し変形が固定してしまいます。
3歳ごろまでに改善しない場合は手術により矯正することがあります。
炎症性斜頸の症状と治療
扁桃炎、中耳炎、頸部のリンパ節炎などの急性炎症によって発生します。リンパ性斜頸ともいいます。
抗菌薬の投与など、炎症の消退とともに自然治癒します。
眼性斜頸の症状と治療
眼の運動をする筋肉の異常が原因で発生します。
6か月以後に気づかれることが多く、何かを注視すると首の傾きが大きくなります。
両目の視機能訓練や視力増強訓練などの弱視の治療や、特殊なレーザーを使用して視力を回復することで治療します。
また、メガネやコンタクトレンズによって矯正することもあります。
骨性斜頸の症状と治療
頚椎、環軸椎などに先天性の形成異常のため生じます。
基本的に手術適応です。
環軸椎回旋位固定
幼小児期に、軽微な外傷によって環軸椎の亜脱臼が発生し、それがロッキングしてしまった状態です。
また喉の炎症によって発生することもあります。
環軸椎回旋位固定の症状
コック・ロビン・ポジションという特有の斜頸を呈します。
X線で、軸椎歯突起と環椎外側塊の左右非対称を認めます。
環軸椎回旋位固定の治療
炎症の消退などにより自然治癒しますが、治療に難渋することもあります。
急性期にグリソン牽引などにより治療することもあります。
それでも治らないものは手術になることもあります。
まとめ
子供の首、頭が傾いているのは斜頸、環軸椎回旋位固定かも。
外傷や炎症で発生するものがある。
多くは自然治癒することが多い。