胸郭出口症候群に対する徒手検査法をかんたんに説明します。
参考にしてみてください。
目次
アドソンテスト
頸椎を後屈、患側へ回旋することで、斜角筋三角が狭くなります。
斜角筋三角には鎖骨下動脈や腕神経叢が通りますが、それらが圧迫されます。
この状態から深呼吸をさせ、胸郭が上昇するとさらに斜角筋三角が狭くなり、血管や神経が圧迫されます。
やり方
患者さんは椅子に座り、両手を膝の上におきます。術者は患者さんの橈骨動脈を触れます。
頸椎を後屈、患側へ回旋し、深呼吸させ息を一旦止めてもらいます。
術者はその際、橈骨動脈の拍動が消失するかを確認します。
ライトテスト
過外転症候群に対するテストです。
上肢を過外転すると、鎖骨が後方へ回転します。
また、肩甲骨も後方に引かれ、第1肋骨と鎖骨の間隙及び烏口突起下で小胸筋と胸郭の間が狭くなります。
その結果、腕神経叢や鎖骨下動脈が圧迫されやすくなります。
やり方
患者さんは椅子に座ります。
術者は橈骨動脈を触れます。患者さんは肩関節を外転90度、外旋90度にしたときに橈骨動脈の拍動が消失するか確認します。
モーレイテスト
前斜角筋を圧迫します。
健常者では不快感程度ですが、胸郭出口症候群の患者さんは圧痛、放散痛を訴えます。
やり方
患者さんの胸鎖乳突筋鎖骨頭の外縁から、1横指半から2横指外側にある前斜角筋を鎖骨上縁部から圧迫します。
局所の疼痛と末梢への放散痛の有無を確認します。
ルーステスト(3分間挙上負荷テスト)
肋鎖症候群に対するテストです。
患者さんの陽性率が高く、健常者の陽性率が低い信頼性があるテスト法です。
やり方
患者さんは座位で肩関節90度外転・外旋位、肘関節90度屈曲位にします。
その状態で、手指の屈伸運動(グーパーを繰り返す)を3分間継続させます。
上肢の疲労や疼痛が誘発され、継続できなくなるものを陽性とします。
エデンテスト
肋鎖症候群に対するテストです。
患側の上肢を後下方へ引き下げることで、鎖骨と第1肋骨の間を狭くします。
これにより、橈骨動脈の拍動減弱あるいは消失があれば陽性です。
やり方
患者さんは座位で胸を張った姿勢をとります。
術者は橈骨動脈を触れながら、患者さんの上肢を後下方へ引きます。
橈骨動脈の拍動の変化や、症状の誘発・増悪があれば陽性とします。
アレンテスト
斜角筋症候群に対し、主に血管症状を見る検査です。
患者さんの陽性率は高いですが、健常者の陽性率も40%近いという報告もあります。
やり方
患者さんは座位になります。
片方の肩関節90度外転・外旋位、肘関節90度屈曲位にします。術者は患者さんの橈骨動脈を触れます。
さらに患者さんは頸部を反対側へ回旋させます。このとき拍動の消失を調べます。
このとき橈骨動脈の拍動が減弱あるいは消失したものを陽性とします。