呼吸で取り入れた酸素は赤血球のヘモグロビンと結合して運ばれていきます。
酸素は水に溶けにくいため、ヘモグロビンと結合することで運搬の効率を高めているのです。
ヘモグロビンとは
ヘモグロビンは中央が凹んだ円板状の無核の細胞です。エリスロポエチンや甲状腺ホルモンなどの刺激によって、血液幹細胞が分化、増殖して作られます。
寿命は約120日で、脾臓などで破壊されます。
ヘモグロビンは簡単にいうと鉄とタンパク質のようなものです。この鉄の部分が酸素分子と結合することで、体内に酸素を効率よく運搬してくれるというわけです。貧血の人は酸素が効率よく運べないので疲れやすいです。
関連記事
酸素解離曲線について
赤血球のヘモグロビンと結合した酸素は、酸素が必要な組織へ酸素を供給するためヘモグロビンから離れます。
ヘモグロビンと酸素の離れやすさはある状況に影響を受けます
1、酸素分圧
まずは酸素分圧による影響です。
酸素分圧が低いときは酸素と結合するヘモグロビンの量は減少します。反対に酸素分圧が高ければ酸素はヘモグロビンと結合しやすくなります。
2、血液のpH(水素イオン濃度)
血液のpHが正常のときと比較してみます。
血液のpHが上昇すると酸素と結合するヘモグロビンの量は増加します。反対に血液のpHが低下すると酸素と結合するヘモグロビンの量は減少します。
血液のpHが低下するときは代謝が盛んな組織に見られます。代謝が盛んということはそれだけ酸素が必要というわけです。
3、血液の温度
血液の温度にも影響を受けます。
温度が高いと酸素と結合するヘモグロビンは減ります。反対に温度が低いと、酸素と結合するヘモグロビンが増えます。
温度が高いところというのは、pHのときと同様に代謝が盛んな組織です。代謝が盛んということはそれだけ酸素が必要になりますよね。また、気温が高い夏のランニングが非常に苦しいのも、酸素が効率よく運搬できなくなることが影響していると考えられます。
4、DPG
DPGとは2,3ジホスホグリセリン酸という物質です。
DPGは赤血球の解糖過程で産出される物質です。DPGがヘモグロビンと結合する際に、酸素を解離させます。
酸素解離曲線はS字カーブを描く
例えば酸素分圧を横軸に、ヘモグロビンの酸素結合度を縦にとる棒グラフはS字曲線を描きます。このことはわずかな酸素分圧の低下が急激な酸素の解離をすることを表しています。
逆にいえば酸素が十分にあるところでは、それ以上酸素とヘモグロビンは結合しにくいということです。
まとめ
酸素分圧が低いと酸素は解離しやすい
血液のpHが低下すると酸素は解離しやすい
血液の温度が高いと酸素は解離しやすい
つまり代謝が盛んなところで酸素を解離しやする機能が生理的にある!