今回は、ADLの評価法として、バーセル指数とFIMについてかんたんに説明します。
参考にしてみてください。
目次
まず、ADLとは
ADLとは日常生活動作「activities daily living」のことです。
日常生活動作とは、家庭における身の回りの動作、歩行を含めた移動能力を意味し、関節可動域(ROM)や筋力、筋肉を思い通りに動かすことができるか(筋の随意性)、心肺機能などの加算された総合能力のことです。
怪我をしてなんらかの障害が残ると、障害は重複、複合することが多いです。
なので、個々の障害の能力の総和としてADL能力を把握して、障害の程度を表現する必要が出てきます。
ADLの評価は、障害がある人の残存している能力レベルでの包括的な評価というわけです。
自分以外の他人からの介助がどの程度かによって、自立、監視、一部介助、全介助にわけられます。
ADLの項目
食事動作
整容動作
更衣動作
入浴動作
移動動作
などがあります。
バーセル指数とは
バーセル指数は、その人が「できる」ADLを評価して、自立か否か判断します。
ただ、細かいADLの変化はとらえにくく、介護度がどれくらいかの観点がありません。
評価方法
100点を満点として、自立状態を評価します。
60点以上で自立度が高く、40点以下で重度の障害になります。
20点以下ではADLは全介助状態になります。
10個の項目があり、それぞれ配点が異なります。
例えば、介助量が多く、社会的に受け入れられないトイレ動作などに関しては高い比重が置かれます。
バーセル指数の評価項目
食事(自立10、一部介助5、全介助0)
車椅子からベッドへの移動(自立15、一部介助10〜5、全介助0)
整容(洗顔、洗髪、歯磨きなど)(自立10、一部介助5、全介助0)
トイレ動作(自立10、一部介助5、全介助0)
入浴(自立5、一部介助、全介助とも0)
平行歩行(歩行不能は車いす)(歩行自立10車椅子自立5、歩行一部介助5、車椅子一部介助0、ともに全介助0)
階段昇降(自立10、一部介助5、全介助0)
更衣(自立10、一部介助5、全介助0)
排便(自立10、一部介助5、全介助0)
排尿(自立10、一部介助5、全介助0)
FIMとは
FIMとは機能的自立度評価法(functional independence measure)とことです。
バーセル指数では、評価できなかった介護度がどれくらいかということを補った指標です。最近はこちらがよく使われています。子供の評価はWee FIMが用いられます。
先ほどのバーセル指数の10項目に、コミュニケーションと社会的認知を加えています。
「できる」ADLを評価していたバーセル指数とは違い、実際に「している」ADLを7段階評価しています。
FIMの評価項目
セルフケア(食事、整容、入浴、更衣、トイレ動作)
排泄管理
移乗(ベッド↔︎椅子、車椅子、トイレ、風呂・シャワー↔︎更衣室)
移動(歩行、車椅子、階段)
コミュニケーション(理解、表現)
社会的認知(社会的交流、問題解決、記憶)
FIMの7段階評価の尺度
自立(7、6)介助者なし
7:完全自立
6:修正自立(補装具など使用)
部分介助(5、4、3)介助者あり
5:監視または準備
4:最小介助(患者自身で75%以上)
3:中等度介助(50%以上)
完全介助(2、1)介助者あり
2:最大介助(25%以上)
1:全介助(25%未満)
その他の自立度評価項目
介護保険の要介護認定には日常生活自立度(寝たきり度)評価表が用いられます。
要介護認定に用いられる日常生活自立度評価
生活自立(ランクJ)
何らかの障害を有するが、日常生活はほぼ自立。ひとりで外出可能
1:交通機関を利用して外出
2:隣近所へなら外出
準寝たきり(ランクA)
屋内での生活は概ね自立。外出は介助必要
1:介助により外出。日中ほぼベッドにいない程度
2:外出の頻度が少ない。日中も寝たり起きたりの生活
寝たきり(ランクB or ランクC)
B:屋内での生活は何らかの介助必要。ベッド上の生活が主体だが、座位は保てる
1:車椅子。排泄はベッドから離れて行える
2:車椅子の移乗に介助必要
C:1日中ベッド上で過ごす。排泄、食事、着替えも介助必要
1:自力で寝返り可能
2:自力で寝返り不可
まとめ
ADLは日常生活動作のこと。
評価法としてバーセル指数、FIMがある。最近はFIMがよく使われる。
バーセル指数は60点以上が自立、FIMは7or6で自立になる