赤ちゃんが腕を反らす、手が後ろ向きになる原因は分娩麻痺かも?腕神経叢の損傷の話

健康

赤ちゃんの腕が後ろ向きになってる、手首が曲がってるのは分娩麻痺の症状かもしれません。

今回は分娩麻痺の症状についてかんたんに説明します。

また、バイク事故でよくある腕神経叢損傷についてもかんたんに説明します。

参考にしてみてください。

分娩麻痺とは

分娩のときに、産道の狭窄部で赤ちゃんの肩や頭部の通過障害があると、首から腕にかけての神経が引っ張られてしまい発生する神経麻痺です。

骨盤位分娩や巨大児の赤ちゃんに発生することが多いです。

ちなみにこの神経は腕神経叢(わんしんけいそう)という神経です。

首のあたり(C5~T1)から、腕や手指にかけて神経が枝を出しています。

この神経に障害があると、腕や手指の運動に影響が出るのです。

分娩麻痺の症状

分娩麻痺は、引っ張られた神経の場所によって、上位型(C5.C6.C7)、下位型(C7.C8.T1)、全型(C5~T1)があります。

この中でも上位型が多く発生します。

肘が伸び、手のひらが上向きになるように手首が後ろへ曲がり、指も曲がります。

解剖学的にいうと、肘伸展位、前腕回内位、手関節掌屈位、手指屈曲位です。これをウエイター・チップ・ポジションといいます。

分娩麻痺の治療

自然回復が見られることが多いです。

神経が再生されればいいのですが、再生時に神経が複数の筋肉を支配するようになると、複数の筋肉が同時に収縮します。

そうなると、関節運動ができない状態、不動金縛り現象が起こります。

回復が悪い場合には、生後半年〜1年くらいに神経移植術や神経移行術をおこないます。

早期手術を逸した遺残症状には、筋腱移行術などの再建術をおこないます。

腕神経叢損傷

バイク事故によって発生することが多いです。

先ほど説明した腕神経叢が引っ張られたり、圧迫されて起こる損傷です。

神経の伝導性がなくなったり、断裂した状態になり、上肢が動かなくなったりします。

腕神経叢損傷の症状

こちらも上位型(C5.C6)、下位型(C7.C8.T1)、全型(C5~T1)があり、損傷程度によって症状はさまざまです。

損傷が後根神経節の中枢(脊髄寄り)にあるものを節前損傷、末梢にあるものを節後損傷といいます。

節前損傷のほとんどは、神経根が脊髄から引き抜かれた損傷(引き抜き損傷)で、脊髄と末梢神経の間の修復は不可能です。

菱形筋麻痺・前鋸筋麻痺、チネル徴候陰性、ホルネル徴候など節前損傷を示唆します。

3週間以上待機し、筋電図検査で自発電位が認められれば有連続性損傷といえます。

腕神経叢損傷の治療

引き抜き損傷では、肋間神経を用いた神経移行術が行われます。

神経叢部の損傷では、神経移植術が行われます。

その他、再建術として筋腱移行術や関節固定術などがおこなわれます。

まとめ

赤ちゃんの腕が後ろ向きになってる、手首が曲がってるのは分娩麻痺の症状かも。

骨盤位分娩、巨大児に多い。

自然回復するけど、回復が悪いときは手術をおこなうこともある。

バイク事故に多い腕神経叢損傷でも腕や手指の障害が起こる。

引き抜き損傷では神経移行術が必要。

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