成長ホルモンはその名の通り、成長を促進するはたらきがあるホルモンです。
厳密には成長ホルモンが肝臓に作用することで、合成・分泌される成長因子によって成長が促進します。
その成長因子は成長ホルモンが作用しなければ分泌されないので、まあ成長ホルモンのおかげということにしておきましょう。
今回はこの成長ホルモンについて簡単に書いていきます。
目次
まずホルモンとは
ホルモンとは、血液中に分泌される化学物質です。
ホルモンは、神経系と同じように身体の機能を正常に保つためにはたらく重要な機能があります。
ホルモンには特異的な標的器官が存在する
ホルモンは何種類かありますが、それらひとつひとつに特異的に効果を発揮する標的器官が存在します。
標的器官の受容体がホルモンに反応することで特異的な作用をします。
例えば、尿を作る過程で必要な水分を再吸収するホルモンが存在します。これは水分の再吸収にだけ作用しますが、成長ホルモンのような成長促進作用はありません。
なんでもかんでも分泌されればいいというわけではないのです。
成長ホルモンの主な作用
成長促進作用
冒頭にも書いたように成長促進作用があります。
成長ホルモンは脳の下垂体前葉から放出されます。なので、この下垂体を取り除いて成長ホルモンが分泌されない状態にすると成長が遅れることが実験でわかっています。
逆に成長ホルモンが過剰に分泌されると、巨人症や末端肥大症になります。
何事もバランスが大事ですよね。
骨などの成長
骨の軟骨細胞を増殖させるはたらきがあります。
子供の骨には骨端線という骨の長さが成長する元になる部分があります。
骨端線は軟骨細胞があり、この軟骨細胞が増殖することで骨が成長し、身長も伸びていきます。
骨以外にも筋肉の成長も促進します。
これらは冒頭にも書いたように、成長ホルモンが肝臓に作用して、そこから分泌される成長因子(IGF-1など)によります。
思春期以降は、性ホルモンの影響で骨端線が閉鎖され軟骨細胞が消失し骨の成長も停止します。
糖質代謝
成長ホルモンはエネルギー代謝にも関係します。
グルコースの肝臓からの放出を促進、また身体の組織へのグルコース取り込みを抑制することで血糖値を上昇させます。
これにより蓄えていた糖質をエネルギーとして使えるようにします。
脂質代謝
脂肪細胞に取り込まれている中性脂肪の分解を促進します。
これにより、血中の遊離脂肪酸を増加させエネルギーとして使えるようにします。
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成長ホルモンが分泌されるまで
成長ホルモンは起きているときよりも、睡眠時の方が分泌されます。
寝る子は育つは本当なんです。
もちろん起きているときにも分泌されます。
食後2〜3時間経過したときや、低血糖状態や運動によっても成長ホルモンは分泌されます。
イメージ的にはエネルギーの欠乏、エネルギーが必要なときに分泌される感じですね。
ほかにも、ストレス、発熱などで分泌が刺激されます。
成長ホルモンの分泌調整
「成長ホルモンの分泌を」調整するホルモンが存在します。ややこしいですね。笑
ホルモンは分泌されすぎも困るし、されなさすぎも困るので、それを調節するホルモンが存在するのです。
成長ホルモンの場合は視床下部からの「成長ホルモン放出ホルモン」と「成長ホルモン抑制ホルモン(ソマトスタチン)」というものによって分泌が調整されます。
これらの作用によって、下垂体前葉から成長ホルモンの分泌が増えたり、減ったりします。
まとめ
成長ホルモンは骨、筋肉の成長を促進する
糖質代謝、脂質代謝も促進する
睡眠、運動などで成長ホルモンは分泌される!