異常運動まとめ。不随意運動・麻痺・運動失調をかんたんに説明

健康

人間は脳・神経の指令を受けて筋肉や関節が動くことで、なめらかな運動をすることができます。

通常では見られない動きをしている場合は、運動を調節する機能に異常があると考えられます。

病気によって特徴的な動きをすることがあります。

今回は異常運動についてまとめていきます。

不随意運動

神経系の疾患では、自分の意思と関係なく、不随意に運動が起こります。

それは全身性に起こるものや、一部・特定の筋肉にだけ出現するものがあります。

痙攣

筋肉が不随意に攣縮する状態です。

筋肉の攣縮が一定の時間持続するものを強直性痙攣といいます。

一方、攣縮と弛緩が交互に繰り返すものを間代性痙攣といいます。

痙攣を起こす代表疾患にてんかんがあります。

ほかに破傷風もあります。破傷風菌は嫌気性菌で地面の中にいるので、裸足ランをやってる人は気をつけないとやばいです。

破傷風は神経毒素により顔面筋が痙攣して、無理やり笑っているかのように見えます。これを痙笑といいます。

また低カルシウム血症でも、末梢神経の異常興奮によって痙攣が起こります。これをテタニーといいます。

振戦

リズミカルに動く不随意な動きを振戦といいます。

甲状腺機能亢進症、アルコール依存症、精神の不安定状態では、周期が短い小さな手指の振戦が見られます。

パーキンソン病では、粗くて遅い振戦が見られます。(丸薬丸め様振戦)

行動しようとしたときに振戦がおこるものを企図振戦といいます。

企図振戦は、多発性硬化症や小脳疾患に特徴的です。

肝硬変など重症な肝疾患では腕が不規則に屈伸する羽ばたき振戦がみられます。

舞踏病様振戦

不規則で、目的のないような非対称性の早い運動を舞踏病様振戦といいます。

小舞踏病、ハンチントン病などでみられます。

アテトーゼ

ゆっくりとした持続性のある運動です。

指をくねらせる、前腕や肩関節を回内・外転、または回外・内転がみられます。

脳性麻痺などでみられます。

チック

単一、または複数の筋肉が、目的のない運動を反復するものをです。

顔面筋に多いです。必要以上にまばたきをする、顔をしかめる、舌鼓を打つなどがみられます。

脳疾患のほか、神経症など精神的なものに起因します。

ミオクローヌス

突発的に一部の筋肉が素早く収縮します。

上肢におこると手に持っている物を落としたりします。

脳炎やその後遺症などでみられます。

麻痺

随意運動が障害された状態のことをいいます。

障害部位によって中枢性麻痺と末梢性麻痺に分けられます。

中枢性麻痺

脳血管障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、仮性球麻痺など核上性麻痺でみられます。

筋肉は緊張します。腱反射は亢進し、病的反射も出現します。

折りたたみナイフ(ジャックナイフ)現象がみられます。

末梢性麻痺

神経損傷、ギランバレー症候群など下位運動ニューロンもしくは筋肉が障害されたときに起こります。

筋緊張は減退します。腱反射は減弱または消失します。

鉛管現象がみられます。

運動失調

ある運動をするためには、いくつもの筋肉が調和を保って収縮することが重要です。

その調和が乱れてしまうと円滑な運動ができなくなります。

その結果おこるぎこちない運動を運動失調といいます。

脊髄性運動失調

脊髄癆などで脊髄後根と後索が障害され、深部感覚に以上が生じておきます。

足を必要以上に高くあげ、足元を目で確かめながら歩きます。

視覚の助けを借りれば、円滑な運動ができます。視覚の助けがないと困難です。

目を開けていれば片足立ち可能ですが、目を閉じると不可です。(ロンベルグ徴候陽性)

小脳性運動失調

小脳腫瘍などで小脳が障害されて起こります。

不安定で動揺しながらの酩酊様歩行がみられます。

視覚の助けを借りても不安定なままです。

まとめ

脳・神経・筋肉の調和が乱れると異常運動がおこる

病気や外傷に伴うもの、後遺症などによって出現する

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