太ももの付け根や耳の後ろの押すと痛いしこりはリンパ節腫脹が原因かも?

健康

太ももの付け根や、首の後ろ、顎にたまにしこりができますよね。

押さえると少し痛みがあります。

そのしこりはリンパ節の腫れが原因かもしれません。

リンパ節腫脹とは

リンパ節は生体防御機構を担う重要な末梢リンパ器官で、全身にくまなく分布しています。

リンパ節には、リンパ球、マクロファージ、細網細胞が集まり生体内に侵入してくる病原体を貪食します。

また、抗原抗体反応をおこない免疫反応に関わっています。

このリンパ節が、種々の病態で大きさや数が異常に増加した状態をリンパ節腫脹といいます。

リンパ節腫脹の原因

リンパ節が腫脹する原因として主に3つのメカニズムがあります。

リンパ節付近の炎症など

まず、そのリンパ節付近の感染症や炎症に反応してリンパ球やマクロファージが増殖して起こる場合です。

このパターンがリンパ節腫脹の原因としてもっとも多いです。

急性扁桃炎では、顎下リンパ節が腫脹し、痛みを伴います。

下肢に化膿症があると鼠径部(太ももの付け根)のリンパ節が腫脹します。

また、風疹や麻疹などのウイルス感染症では全身のリンパ節が腫脹します。

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リンパ節自体の感染

リンパ節自体に感染が起こる場合もリンパ節腫脹が起こります。

黄色ブドウ球菌などの化膿性細菌や結核菌などが感染を起こし、リンパ節が腫脹します。

腫瘍によるもの

リンパ節が腫瘍性に腫脹することもあります。

悪性リンパ腫は、リンパ節を構成するリンパ球が腫瘍性に増殖し腫脹します。

また、他の部位の癌がリンパ節に転移することもあります。

例えば、胃癌では左鎖骨上窩(ウィルヒョウ)のリンパ節が腫脹します。

リンパ節腫脹をきたす主な疾患

二次性リンパ節炎

皮膚や粘膜の化膿があると、その所属リンパ節が炎症性に腫脹します。

腫脹は柔らかく、圧痛があります。また、皮膚表面が発赤しています。

リンパ節結核

頸部に好発します。

一般的には疼痛、発赤、熱感はありません。

リンパ節相互、もしくは周囲の組織と癒着し、塊になっていることがあります。

しばしば膿瘍を作り、波動を触れます。

皮膚が破れてしまうと治りにくいです。

伝染性単核球症

頸部及び多発性にリンパ節が腫脹します。

リンパ節はやわらかく、小豆大から母子球大になります。

圧痛や癒着は見られないことが多いです。

EBウイルスが原因になり、20歳前後の若年者に好発します。

発熱、咽喉頭炎も伴います。また、肝機能異常を伴うこともあります。

梅毒

梅毒トレポネーマが原因で感染する性病です。

第1期には局所のリンパ節が腫脹し、第2、3期では多発します。

第3期にはゴム腫を形成し、やわらかく、大きくなります。

周囲と癒着し、潰瘍を作ります。

悪性リンパ腫

リンパ節の腫瘍で、予後が悪いです。

初期には限局しますが、進行すると広がります。

リンパ節は弾力性で硬く、発赤や圧痛はありません。

大きさはさまざまで、小豆大から鶏卵大にもなります。

病型別にホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫があります。

白血病

白血病のうち、リンパ性白血病では全身性にリンパ節が腫脹します。

圧痛や熱感はありません。

癌の転移

がん細胞がリンパ節に転移すると、極めて硬いリンパ節腫脹をきたします。

表面は不整で、圧痛はありません。

胃癌では、左鎖骨上窩(ウィルヒョウ)のリンパ節に転移することが多いです。

乳がんでは、腋窩のリンパ節に転移しやすいです。

その他

全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病、サルコイドーシス、薬剤アレルギーなどでも腫脹することがあります。

対策

リンパ節腫脹が感染症や炎症に対する反応性のものか、悪性リンパ腫や癌の転移による悪性のものか確実に判定することが重要です。

感染症の場合は、適切な抗菌薬を投与して経過観察します。

悪性腫瘍では、抗がん薬による化学療法や放射線療法を行いますが、予後不良のこともあります。

まとめ

リンパ節腫脹は感染、腫瘍などさまざまな原因がある。

感染症が原因なら抗菌薬で経過観察

悪性腫瘍が原因なら化学的療法、放射線療法

確実な判断が重要

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