世間を騒がせた日馬富士の暴行事件。
その被害者の貴ノ岩がなったとされる頭蓋底骨折とはどのようなものなのかを簡単に書いていきます。
目次
頭蓋骨骨折
頭蓋底骨折は広義の頭蓋骨骨折になります。
頭蓋骨骨折が細かく分類され、頭蓋冠骨折と頭蓋底骨折になるのです。
眉間から首の付け根(外後頭隆起)を結んだ線より上での骨折が頭蓋冠骨折で、線より下での骨折が頭蓋底骨折になります。
頭蓋底骨折
一般的に頭蓋底骨折は介達外力で発生します。
高いところから墜落し、足底や臀部をついた衝撃が脊柱に伝わり、頭蓋底が突き上げられることで発生します。
直達外力での発生では、眼窩や鼻の骨折が頭蓋底まで達したものに見られます。
頭蓋底骨折は、前頭蓋底骨折、中頭蓋底骨折、後頭蓋底骨折に分類されます。
中頭蓋底骨折がもっとも多いです。(側頭骨の錐体部骨折)
頭蓋冠骨折
直達外力によるものが多いです。
高所からの転落や硬質物の直撃によって発生します。
亀裂骨折が多く、成人では陥没骨折、小児では陥凹骨折が見られます。
また頭蓋骨周囲からの圧迫による場合は破裂骨折を呈することもあります。
症状
症状① 脳神経損傷
頭蓋底骨折では、骨折線が通過する部位に脳神経が通っていることがあります。
そのため脳神経の損傷症状を調べる必要があります。
特に、嗅神経、視神系、顔面神経、内耳神経などに注意が必要です。
症状② ブラックアイ
前頭蓋底骨折では、ブラックアイという症状が見られることがあります。
ブラックアイは眼窩周辺の皮下出血斑です。
症状③ 髄液鼻漏
髄液鼻漏とは髄液が鼻から漏れてくることです。
鼻水とは違うサラサラした液体がでてきたら注意しましょう。
症状④ バトル徴候
中頭蓋底骨折ではバトル徴候が見られます。
これは、耳の後ろの皮下出血斑です。
症状⑤ 髄液耳漏、耳出血
髄液耳漏は、髄液が耳から漏れてくることです。
また耳から出血することもあります。
中頭蓋底骨折で見られます。
症状⑥ 顔面神経麻痺
中頭蓋底骨折のうち側頭骨の錐体部骨折では顔面神経麻痺を起こすこともあります。
症状⑦ 脳の損傷
頭蓋骨内の出血による脳圧亢進、脳震盪、脳挫傷などの合併の可能性があります。
頭蓋冠骨折のうち中硬膜動脈が走行する側頭部または頭頂部の骨折では、急性硬膜外血腫による意識障害や瞳孔不動が見られます。
頭部外傷では24〜48時間の急激な状態の変化に対する監視が必要です。
嘔吐、意識消失、大きないびきで眠り込むなどの症状には注意しましょう。
応急処置
早急に専門医にゆだねましょう。
頭部の動揺を防ぎ、出血が見られるときは滅菌ガーゼなどを用いて止血します。
移送するときは頭部を高位にしましょう。また、アイスバッグなどで頭部を冷やしましょう。
まとめ
頭蓋骨骨折は頭蓋冠骨折と頭蓋底骨折に分けられる。
頭蓋底骨折は前、中、後頭蓋底骨折に分けられる。
前頭蓋底骨折ではブラックアイと髄液鼻漏、中頭蓋底骨折ではバトル徴候と髄液耳漏が見られる
脳の損傷を合併していることもあるので、早急に専門医にゆだね、24〜48時間は患者を一人にしないこと