「走った距離は裏切らない」
・・・なんてよくいいますが、嘘です。走った距離は裏切ることだってあります。
正確には、走った距離は「ある程度」裏切らない。
これが正解です。
誰よりも練習しても速く走れないことは、ふつうにあり得ることなのでいちいち悲観しないこと。
目次
走った距離が裏切る理由
結論からいうと、遺伝です。
運動能力は遺伝で決まります。
だからどんなにトレーニングしても、オリンピックのメダリストにはかないません。
もちろん100%が遺伝ではなく、ある程度は育った環境や運動の学習によって影響を受けます。
しかし、残念なことに大部分は遺伝です。
だから極端な話をすると、いくら効率のいいフォームの勉強をしたり指導を受けても、体を思い通りに動かせないためにフォームが身につかない人もいるのです。
そのフォームを身につけるのに貴重な時間が奪われてしまい、体力のピークを逃してしまえば、本来出せたはずのタイムも出せないわけです。
運動能力とは?
いきなり運動能力は遺伝で決まるとお話ししましたが、運動能力とは何かを説明します。
運動能力は、課題(運動技能)遂行に必要な個人に内在する特性です。
運動能力が高い人は、より少ない時間で課題(運動技能)の向上を果たすことができます。
速筋と遅筋の関係
運動能力以外に、筋繊維もほとんどは遺伝で決まります。
トレーニングによってある程度の変化はしますが、これも遺伝の影響が大きいです。
遅筋 タイプⅠ SO線維
遅筋はいわゆる長距離走タイプです。
持久力はありますが、瞬発力やパワーが弱いです。
速筋 タイプⅡb FG線維
速筋はいわゆる短距離走タイプです。
瞬発力やパワーはありますが、持久力がありません。
速筋 タイプⅡa FOG線維
もうひとつ速筋があります。これは遅筋と速筋のいいとこ取りした筋繊維です。
スピードやパワーがあるのに、ある程度疲れにくいというものです。
関連記事 マラソン選手と短距離選手で筋肉は違う!筋肉の種類の話
マラソンなどの長距離種目では、筋肉だけではなく、呼吸循環器系の影響である程度カバーできます。これがマラソン(長距離走)は才能ではなく努力のスポーツといわれる所以です。
ですが、筋肉の収縮によって運動が起こる以上、筋繊維との関係を除外することはできません。
速筋系の筋繊維を持っている人でなければ、あるレベル以上の大会で渡り合うのは厳しいでしょう。
オリンピックにこの種目さえあれば、日本はメダルラッシュ間違いなし!
しかし、超長距離のレースなら日本人でも世界と渡り合えます。
100キロマラソンの世界記録保持者は日本人!
日本人が高速化してきた現代のフルマラソン(42.195キロ)で金メダルはなかなか難しいです。
しかし、100キロマラソンの世界記録保持者は男女とも日本人(ロードは男女、トラックは女子のみ)です。
24時間・48時間マラソンの女子世界記録保持者も日本人!
さらに女子では、24時間マラソン(トラック、室内)と48時間マラソン(ロード、トラック)の世界記録保持者が日本人です。
日本人は、遺伝的に速筋よりも遅筋が発達している人が多いです。
なので、高速レース化したフルマラソンでは世界と戦うのは厳しくても、超長距離のレースでは遺伝的に他の人種よりも優れているためこのような結果になっていると考えられます。
まとめ
走った距離が裏切る理由は、運動能力や筋繊維は遺伝によってある程度決まるから。
ただし、環境やトレーニングによってある程度は変わる!
日本人は遅筋線維が多い人が多く、高速化したフルマラソンでは世界で戦うのは少し難しい!
でも100キロマラソン、24時間&48時間マラソンの世界記録は日本人が持っている!
遺伝の力は半端じゃない!