糖尿病はインスリンの作用不足による、慢性の高血糖状態を主な症状とする代謝性疾患です。
慢性的な高血糖状態が続くことで、恐ろしい合併症が生じます。
目次
糖尿病は治らないから予防が大事
まずはじめに、糖尿病は改善はできても、治るという概念はありません。
だから食事や運動習慣に気をつけ、予防することが大切なのです。
予防できる病気なのに、予防することすら許されない国、日本
近年、低賃金、長時間労働が問題となっています。
お金がなければ、糖質重視の高カロリー食になりますし、時間がなければ運動もできません。
糖尿病患者は増える一方です。
生活習慣病というか労働環境病といってもいいレベル
ただでさえ労働人口が減っているのに、糖尿病患者が増えれば、失明、切断、透析で仕事どころではありません。
医療費も圧迫します。
予防できる病気なのに、お金も時間も満足に与えられず、予防どころではない生活環境の人が多くいます。
国はもっと真剣に、労働環境の改善に力を注ぐ必要があるといえるでしょう。
国がその努力すらしないで医療費がどうのこうの、保険料がどうの言われる筋合いはないですよね。
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糖尿病の分類
では、糖尿病についてかんたんに説明します。
糖尿病は1型と2型に分類されます。
1型糖尿病
これはインスリンを分泌する膵臓の細胞の病変によって、インスリン自体が作られなくなったケースです。
インスリンが作られていないのですから、インスリンを分泌できません。
インスリンがなければ、血中の糖を取り込めないので高血糖状態になってしまいます。
1型糖尿病はインスリン補充療法が必要です。
日本では5%以下とかなり少数です。
2型糖尿病
こちらは、インスリンの分泌はあるのですが、インスリンの作用が低下することで引き起こされるケースです。
生活習慣が大きく影響し、肥満の人に多く、40代以上に多いといわれています。しかし近年は子供にも発生しています。
また、遺伝的要素も関係しているといわれています。
2型糖尿病が1型糖尿病に比べて圧倒的に多いです。
その他
1型、2型のほかに妊娠糖尿病というものがあります。
妊娠中、特に妊娠後期は、ホルモンバランスの影響でインスリンが正常に働きにくく、軽度の糖代謝異常が起こりやすい状態になります。
早期発見が重要です。
糖尿病の診断
・早朝空腹時血糖値126mg/dl
・75g蛍光ブドウ糖負荷試験で2時間後血糖値200mg/dl
・随時血糖値200ml/dl
これらのうちどれかに該当し、なおかつHbA1cが6.5%以上が同時に確認できれば糖尿病と診断されます。
糖尿病の症状
自覚症状として喉の渇き、多飲、多尿、疲れやすい、体重減少、視力低下、足の痛みやしびれがみられます。
また、血糖値が上昇し、代謝障害が生じます。
糖質をエネルギーとして使えなくなるので、脂質を代謝するようになります。その結果ケトン体が作られ、ケトアシドーシス(体液が酸性に傾く)になり命に関わります。
さらに動脈硬化を促進し、心筋梗塞、脳梗塞、下肢の動脈閉塞を引き起こします。
特に3大合併症といわれる、網膜症、腎症、神経障害に注意が必要です。
3大合併症
糖尿病網膜症
網膜症によって失明してしまいます。
日本での後天的原因によって失明する人の40%が、糖尿病網膜症によるものといわれています。
糖尿病腎症
高血糖のため、腎臓の組織が破壊されます。
その結果、尿タンパクが出現し、腎臓の機能がどんどん悪化していきます。
進行すると人工透析が必要になります。透析患者の約40%が、糖尿病腎症によるものといわれています。
糖尿病神経障害
左右対称性に痛みや感覚異常が出現します。
特に、手足など末梢にみられることが多いので「手袋・靴下型のしびれ」と表現されます。
また、足の神経が障害されると火傷や外傷に気付きません。そして、傷口から感染を起こし、処置が遅れると足を切断することになってしまいます。
さらに自律神経も影響を受けるので、次のような症状もみられます。
心拍変動の消失、起立性低血圧、交代制の便秘・下痢、発汗異常など。
また、顔面神経麻痺、外眼筋麻痺、突発性難聴のように脳神経支配の部位にも異常がみられます。
日本終わる。およそ3人に1人が糖尿病患者か予備軍
2012年の調査では、糖尿病患者は約950万人です。
糖尿病の可能性がある予備軍は1100万人、2050万人と推定されています。
およそ4000万人が患者もしくは予備軍です。
先ほど書いたような失明などの合併症を発症したくなければ、糖尿病を予防しましょう。
治療には食事療法と運動療法、あと薬物療法
糖尿病の発症、進行には生活習慣が大きく影響します。
患者自身が高い意識を持って治療に協力しなければ、改善はまず不可能です。
食事療法
摂取カロリーを抑えましょう。
特にお酒、砂糖、食塩も制限する必要があります。
運動療法
強度が弱い有酸素運動を取り入れていきましょう。
運動をすることで、糖質や脂質をエネルギーとして消費するので血糖が低下します。
特にインスリンの作用が低下している2型糖尿病に効果的です。
運動は食後1時間後くらいから始めましょう。
また、足に負担がかからないよう適切なウォーキングシューズを履きましょう。
腰や膝などに痛む場合は水泳や水中歩行がいいでしょう。
しかし、血糖コントロールが悪い場合、網膜症による出血がある場合、腎不全などでは運動を禁止します。
また、心肺機能や運動器に異常がある場合も医師と相談し運動を制限することがあります。
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薬物療法
経口血糖降下薬を用います。
これらは糖尿病を治す薬ではありません。
あくまで血糖をコントロールするだけです。
まとめ
糖尿病は合併症がやばい
日本の3人に1人は糖尿病患者もしくは予備軍
糖尿病は治らないから予防が大事