脊柱、胸郭の話に続いて、上肢の骨の話を書いていきます。ここではみんな大好き肩甲骨の話も出てきますよ。
人間は4足歩行から2足歩行に進化しました。このことにより上肢は自由に動き、さらに手のひらや指先を曲げたり、つまんだり細かな動きも可能になりました。
足では指先の細かい動きが難しいですよね。手は物を自由に使えるように進化してきたのです。
目次
上肢の骨
上肢ってどこからだともいますか?腕だけではないんです。
実は肩甲骨、鎖骨も含んでいます。肩甲骨、鎖骨と腕以下の部分で上肢なんです。
上肢の骨は左右合わせて64個もあるんです。多いですよね。
ほとんどは手の部分の骨です。細かい動きを可能にするために、手は小さい骨がいくつもあるんですね。
上肢の骨は自由に動くことができる自由上肢骨と、自由上肢骨を体幹に連結するための上肢帯とにわけられています。
上肢帯
上肢帯の骨は肩甲骨と鎖骨のことです。俗にいう腕の部分は、肩甲骨と鎖骨のおかげで体幹部と連結しています。
自由上肢骨
自由上肢骨は上腕骨、前腕部の骨である橈骨と尺骨、手の骨(手根骨、中手骨、基節骨、中節骨、末節骨)です。
肩甲骨と肩関節
肩関節っていくつあると思いますか?
実は5個もあるんです。
一般的には肩甲骨と上腕骨とが関節する肩甲上腕関節をイメージすると思います。
実はそれ以外にも、肩鎖関節、胸鎖関節、肩甲胸郭関節、第2肩関節というものがあります。
肩甲上腕関節
肩甲骨と上腕骨の関節です。一般的な肩関節の部分です。
肩鎖関節
肩甲骨と鎖骨の関節です。鎖骨を外側へたどると肩甲骨と関節しているんです。よく脱臼するところです。
胸鎖関節
鎖骨と胸骨の関節です。体幹と上肢の唯一の骨性の関節です。
肩甲胸郭関節
肩甲骨の肋骨面と胸郭の関節です。関節といっても筋肉によってのみつながっています。
肩甲骨周りを柔らかくしておくことは、この肩甲胸郭関節の運動に影響します。
第2肩関節
上腕骨と肩甲骨の肩峰の間にできる関節です。
ここも関節といっても骨同士で繋がっているのではなく、肩峰下滑液包というクッションのようなものがあります。
肩甲骨と鎖骨の運動
実は肩甲骨と鎖骨って動くんです。動かない人は、周りの筋肉などが固まってしまって柔軟性が低下しているかもしれません。
よく動かしたり、ストレッチしたりしましょう。
肩甲骨の動き
挙上(肩をすくめるように肩甲骨を引き上げる動き)
下制(挙上と反対に肩を下げる動き)
外転(肩甲骨を左右に離すような動き)
内転(外転と反対に肩甲骨を近づける)
上方回旋(肩甲骨の下角が外側へ回転する動き)
下方回旋(肩甲骨の下角が脊柱の方へ回転する動き)
鎖骨の動き
挙上(腕を横から上へ上げるときに付随する鎖骨の動き)
下制(挙上と反対に鎖骨が下がるような動き)
前突(肘を伸ばして手のひらを合わせようとしたときに付随する鎖骨の動き)
後退(前突の反対で手を後ろで合わせようとしたときの鎖骨の動き)
前方回旋(鎖骨が前回りするような動き)
後方回旋(鎖骨が後周りするような動き)
腕ではなく肩甲骨と鎖骨を動かす意識を
肩甲骨と鎖骨が動くのは意外ではなかったですか?このことがわかれば効率よく腕振りができます。
肩甲骨や鎖骨のように体幹の中心に近いところを使うことで腕振りの力も効率よく体幹に伝わり、同側の骨盤が前方にいき、さらに脚を振りだしやすくします。
脚だけに頼らない体幹を上手く使った走りができるんですね。
肩甲骨の内転と鎖骨の後退をすることで、上腕骨は少し後ろに動きますよね。
上腕骨は肩甲骨に関節しているし、肩甲骨は鎖骨と関節しているので、肩甲骨や鎖骨が動けば腕も少し動くんです。
鎖骨の可動域
鎖骨の可動域は次の通りです。
前方に10センチ、後方に3センチ
上方に10センチ、下方に3センチ
30度〜50度の軸回旋
呼吸も楽
鎖骨の後退と肩甲骨の内転をすると軽く胸を張るような感じになりますね。そうなると胸郭が広くなります。
胸郭が広がれば、その分肺もふくらむスペースができるのでより効率よく酸素と二酸化炭素の交換もおこなえるようになります。
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まとめ
肩甲骨と鎖骨は動く!
肩甲骨と鎖骨が動けば腕も動く!
腕を動かすのではなく、肩甲骨と鎖骨の動きを意識する!