マラソン、長距離走がきつい理由と速くなる練習法。LTとOBLAについて

ランニング練習方法

マラソンや長距離走がきつい理由は、エネルギーの供給が追いついていないからです。もう少し具体的にいうと乳酸の代謝が追いつかないから。

それを解決する練習法は、高強度のトレーニング、具体的にはインターバル走(つなぎで心拍数を下げ過ぎない)です。

マラソンを速くなりたい人は、今回の記事を参考にしてみてください。

エネルギー供給の仕組み

まず基礎知識として、有酸素運動無酸素運動ではエネルギーの供給源が異なります。

それについて簡単に説明しておきます。

有酸素運動(長距離走)

マラソンのような比較的スピードを抑えて走る運動は、有酸素運動です。

有酸素運動では、エネルギー源として主に脂質、乳酸、グリコーゲンが使われます。

このエネルギー供給の様式はクエン酸回路、酸化系などといわれます。マラソンではこのエネルギー供給機構がメインとなります。

多くのATP(エネルギー源)を供給できますが、その供給スピードが遅いので短距離走などにはATPの産生が追いつかないのが弱点です。

無酸素運動(短距離走)

一方、短距離走のようにスピードを出して走る運動は、無酸素運動です。

無酸素運動では、エネルギー源として、筋肉に貯蔵されているATPやクレアチンリン酸(ATP-CP系)、または糖質(解糖系)を利用します。

こちらはATPの供給量は少ないので長時間持続はしませんが、供給スピードが速いので短距離走のような短時間で爆発的な力を要する無酸素運動のときに使われます。

また、解糖系では、乳酸が発生したり、筋力低下を誘発するカリウムイオンや塩素イオンの濃度が上昇するので長時間の運動の持続が困難になります。

ATPを供給できる持続時間は、ATP-CP系が約6秒間、解糖系は約33秒間しかないといわれています。

長距離走がきつくなる理由

エネルギー供給の仕組みがわかったところで本題です。

おしゃべりしながら走れる程度のジョギングでは、クエン酸回路が主に使われエネルギーが供給されます。

しかし、だんだんペースが上がる解糖系を使ってエネルギーが供給されるようになります。

どのスピードのときにどれくらいの割合で無酸素性のエネルギー供給が行われるかは、個人差があります。

マラソンの中継を見ていて、途中で集団から脱落してしまうランナーは、その人にとっては集団のスピードが速く、クエン酸回路主体ではエネルギー供給が追いつかなくなったためといえます。

その結果、解糖系やATP-CP系のエネルギー供給の割合が増えたものの、それもエネルギー供給も長く持続しなかったことから、スピードが低下し、集団から脱落してしまったというわけです。

ランニングのスピードと血中乳酸濃度

乳酸運動強度の増加に伴って、血中の濃度が増加していきます。

乳酸は本来、エネルギー源です。

乳酸の産生に対して処理が追いついているうちは問題ないのですが、乳酸の産生が上回ると、体の動きが悪くなります。

先ほどにも書いたように、無酸素系のエネルギー供給様式である解糖系の代謝産物乳酸があります。

ランニングのスピードが上がるにつれ、解糖系が使われるようになれば、乳酸も増加してきます。

そして乳酸の処理が追いつかなくなると、レースで集団から脱落してしまうというわけです。

LT(乳酸性作業閾値)、OBLA(血中乳酸蓄積開始点)

ランニングスピードが上がると、血中乳酸濃度も徐々に増えます。

そして2mmolに到達するスピードを乳酸性作業閾値(LT)といいます。

このLTに相当するスピードが、エネルギー供給系がクエン酸回路から解糖系へ切り替わるポイントです。

そこからさらにスピードをあげると、血中乳酸濃度もさらに増加します。

今度は血中乳酸濃度が4mmolになるときのスピードを血中乳酸蓄積開始点(OBLA)といいます。

OBLAを超えるランニングスピードでは、それまでよりも血中乳酸の増加が急激に増加します。

長距離走を速くなるための練習方法

OBLA(血中乳酸蓄積開始点)よりも少し手前のスピードでの練習を繰り返すことで、OBLAを上昇させることができます。

OBLAの閾値が上昇すれば、乳酸の急激な蓄積を遅らせることができます。

つまり今まででは、疲れてしまっていたようなスピードで走っても疲れなくなるのです。

具体的な練習としては、インターバル走をオススメします。しかも、つなぎのジョグでなるべくペースを落とさないで行います。

こういう練習をすることで、乳酸の処理能力を向上させることができます。

乳酸が発生しても効率よく代謝してくれるようになるので、スピードが上がっても運動を持続することができるのです。

距離走も忘れずに

スピードを出して走る練習がOBLAを上昇させますが、そればかりやればいいというわけではありません。

高強度の練習ばかりすると怪我のリスクが高くなります。

距離走も忘れずに行いましょう。

関連記事 距離走とスピード、両方のバランスが大切

まとめ

スピードをあげれば、クエン酸回路から解糖系へエネルギー供給様式が切り替わる。

解糖系では乳酸が発生するが、そのときのスピードをLT、さらにスピードを上げて、急激に血中乳酸濃度が上昇する閾値がOBLAという。

OBLAの少し手前のスピードでの練習を繰り返すことでOBLAの閾値を上昇させ、乳酸の発生を遅らせることができる。

インターバル走がオススメ。

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