「足が痛いんですけど、ロキソニン飲んでマラソンに出ます。」
というクライアントさんがたまにいらっしゃいます。私もランナーなので、レースを走りたい気持ちはもちろんわかるのですがコーチという立場的にやめるように説得するようにします。
ロキソニンはただの痛み止めであり、怪我による足の痛みの原因そのものがなくなるわけではないからです。
ロキソニンの効果が切れたらむしろ痛みは悪化します。
目次
ロキソニンとは
ロキソニンは簡単にいえば痛みや腫れの症状を抑える薬です。また解熱作用もあります。
錠剤以外にも貼るタイプのロキソニンテープなんかもあったりします。
なんでロキソニンを使うと痛みがなくなるの?
炎症の原因物質であるプロスタグランジンを作らないようにすることによって痛み止めとして作用します。
痛みの原因そのものが治るわけではない
痛みの原因物質を作らせないなんて素晴らしい!なんて思ったら大間違い。
痛みというのは体からの警告のサインです。ロキソニンはその警告を隠しているだけなんです。
例えるなら、建物に侵入者があらわれて本来なら大音量の警報装置が作動するはずが、警報装置の音量をすっごく小さくされてしまい異変に気づかないみたいなもんです。
足首を捻挫したまま走ったらどうなるかを考えよう
ロキソニンを使っても痛みの原因そのものは治っていません。
つまり捻挫などの怪我をしたまま走っているようなものなんです。
その状態でフルマラソンを走ったとしたらそれはただ捻挫を悪化させているだけです。
効果が切れたら歩くことすらままならないでしょう。
市民ランナーほどロキソニンを使いたがる
指導する側になって感じたのは、市民ランナーほど痛み止めを使ってまでレースを走りたがるということです。まあロキソニンが手に入りやすくなったという時代背景もあるのでしょう。
私が学生のときの周りの陸上部員には、痛み止めを使ってまで走る選手は少数でした(もちろん出場する大会の時期やレベルにもよりますが)。
いさぎよく棄権する選手の方が多かったです。
時間が限られているならまだわからんでもない
高校なら3年間、大学なら4年間しか学生たちは競技ができません。
その限られた時間の中で考えれば痛み止めもやむをえない時もあるでしょう。
例えば卒業後は競技を続けないと決めていて、学生として走る最後の全国大会なら走る価値はあるでしょうね。
市民ランナーでも、もうこれでマラソンはひと区切りにしようと決めている最後のレースなら多少無理しても差し支えないでしょう。
一方で来年だろうが再来年だろうが好きな時に走ることができる市民ランナーが、痛み止めを使ってまで無理して走るのは何か違う気がします。
日本トップレベルの選手ですら棄権する時は棄権する
リオ五輪代表の鈴木亜由子選手がレース10000mを棄権したことは記憶に新しいと思います。(5000mは出場しましたが)
現日清食品の村沢選手も東海大学4年生時の時箱根駅伝予選会の出場を棄権しています。
フルマラソンタイム10代歴代1位の元青学下田選手も東京マラソンの出場を見送りました。
ロキソニン信者のランナーは棄権する勇気を持とう
上記のように日本を代表するトップランナーですら棄権するのに、なぜ市民ランナーは痛み止めを使ってまで走りたがるのか。
SNSに「マラソン走ってきました、足痛めてるのに頑張った私すごいでしょ」報告をして「いいね!」をつけて欲しいのでしょうか。
でもそれって「私はレースに向けて調整する自己管理能力がありませんでした」っていってるようなものです。
それなら棄権した方が怪我の悪化も防げるし、自己管理能力ありませんアピールもしなくてもすむので賢明です。
冒頭に書いたように、私は痛み止め飲んで走るくらいなら棄権するように説得しますが、まあ究極のところは本人が大会の参加費払ってるし、本人の体のことだからリスクを承知した上で好きにすればいいです。
でも、健康のため、楽しむために始めたランニングなのに、どんなに足が痛くても走らなければいけない義務感に追われてしまうのは違うんじゃないかなと思います。
もっと肩の力抜いて、楽しく走ってみてはいかがでしょうか。