筋肉がどうして動くのか、疲れるのか気になりますよね?
今回はそんな疑問をわかりやすく、簡単に説明していこうと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
筋肉が動く仕組み・滑走説
筋肉というのは筋細胞の集まりです。
アクチンとミオシンの滑走による
筋細胞のなかにアクチンフィラメントとミオシンフィラメントというものがあり、何層も交互に重なっています。
筋の収縮の正体は、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間を滑走し、隣接するアクチンフィラメントに近づくことで起こります。
では、なぜアクチンがミオシンの上を滑走するのかを掘り下げていきます。
アセチルコリンの放出
筋細胞には細胞膜があって、運動神経と接しています。その運動神経の終末にはアセチルコリンという神経伝達物質が詰まっています。
脳からの指令で運動神経が興奮すると、神経終末からアセチルコリンが放出されます。
筋細胞膜にはこのアセチルコリンと結合する受容体があります。そこにアセチルコリンが結合すると、活動電位が発生します。
活動電位を受け取る
筋細胞膜上には細胞膜が細胞内に窪んでできた管のようなものがあります。これを横行小管といいます。発生した活動電位は横行小管を介して筋細胞の中に伝わります。
カルシウムイオンの放出
興奮が伝わると筋細胞の細胞質のなかの終末槽というところから、カルシウムイオンが放出されます。終末槽とは、筋細胞のなかの筋小胞体という器官に存在するふくらんだ部分をいいます。
そのふくらみの中にカルシウムイオンが蓄えられ、興奮を受けると放出します。
カルシウムイオンがトロポニンに結合
細胞質のなかに放出されたカルシウムイオンは、トロポニンというものに結合します。
トロポニンはアクチンフィラメントにある筋の収縮を調節する蛋白です。
筋の収縮を調節する蛋白はもうひとつ、トロポミオシンというものがあります。
普段はトロポミオシンはアクチンとミオシンの間にあります。これによりミオシンがアクチンを引き込めないようにし、互いの滑走を防ぐことで筋が収縮しないように抑制しています。
筋収縮の抑制の解除
トロポニンにカルシウムイオンが結合すると、トロポミオシンの抑制が外れてアクチンとミオシンが滑走が可能になります。
最終的にミオシンがアクチンを引き込んで、滑走、筋収縮するためにはATPというエネルギーが必要です。
ミオシンにATPがくっついて、ADPに分解されるときのエネルギーを使いアクチンを引き込むことで滑走します。
筋収縮したあと
ミオシンがアクチンを引き込んだあと、元の状態に戻すのにもATPが必要です。
また、筋小胞体には、カルシウムイオンを強力に回収するカルシウムポンプがあります。このポンプによってトロポニンに結合したカルシウムイオンも回収されます。
トロポニンに結合していたカルシウムイオンが回収されると、再びトロポミオシンがアクチンとミオシンの滑走を防ぐように抑制をかけます。
このような仕組みにより筋肉は収縮を終え、弛緩します。
筋肉は収縮するときも弛緩するときもATP(エネルギー)が必要なのです。
ちなみに、生命活動を終えたらエネルギーを供給できなくなります。
これにより、アクチンとミオシンが元に戻らなくなり筋肉が弛緩できなくなることで死後硬直が起こります。
ATPの供給がなくなると筋肉も疲れる
筋肉に収縮の刺激を繰り返し与えると、いつかは収縮が弱くなり、やがて筋肉は収縮できなくなります。
長時間の反復刺激によって筋肉の収縮力が弱くなることは経験があると思いますが、これがいわゆる筋肉の疲労です。
疲労した筋肉中のATP濃度は非常に低くなります。
筋肉を休ませれば、回復期間中に代謝によって新しく作られたATPが筋肉に蓄えられ、筋肉中のATP濃度が上昇し、再び収縮を行うことができます。
ATPは糖質や脂質あるいはアミノ酸を分解することで供給されます。運動前はもちろん、運動中も可能なら栄養補給をしましょう。
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まとめ
アクチンとミオシンの滑走によって筋が収縮する!
収縮にはカルシウムイオンやATP(エネルギー)が必要する!
収縮だけでなく弛緩するときにもATPは必要!