ふとしたことで顔面をぶつけてしまうことありますよね。
そんなときに注意したい、顔面の骨折の話を書いていきます。
顔面の骨折が疑われる場合は早急に専門医にみてもらいましょう。
眼窩底破裂骨折
眼窩とは眼球を入れている部分です。
ここの底、すなわち眼窩底は薄くなっていて拳やボールが当たるなどしたときの衝撃で骨折しやすい場所です。
眼窩底のほか、眼窩の内側にも骨折が発生しやすいです。
症状
眼球が陥凹します。
また、眼窩内出血や浮腫によるまぶたの腫れにより目が開けにくくなります。(瞼裂の狭小化)
眼球運動も障害されます、特に上転障害がみられ、複視や視野の障害もみられます。
さらに眼窩下神経の感覚障害により、頬から上口唇にしびれがあります。
合併症として、脳震盪、脳挫傷、視神系障害などに注意が必要です。
上顎骨骨折
上顎骨とは上あごの骨です。
上顎骨には上顎洞という空洞があります。
そのため上顎骨の骨折では、損傷部が外気と交通する複雑骨折(開放性骨折)になりやすく、感染症の危険があります。
分類・症状
上顎骨骨折では、損傷部分の範囲によって分類があります。ルフォールの1〜3型があります。
ルフォール1型は、顔面下部打撲によって上顎骨歯槽骨折をきたしたものです。上顎が下後方に転位します。
ルフォール2型は、顔面中央部の陥凹、すなわちdish faceと咬合不全をきたします。また、鼻骨と篩骨の骨折の合併によって髄液漏がみられます。
ルフォール3型は、顔面上部の打撲によって顔面と頭蓋の連続性が絶たれた状態です。2型と同様に髄液漏がみられます。
上顎骨骨折は全体を通して、内出血が多く、腫れも大きいので顔貌がかなり変化します。
このほかの症状として、咀嚼(そしゃく)障害や言語障害、下顎運動障害などがみられます。
合併症として、脳震盪、脳挫傷、視神系障害、気道閉塞などに注意が必要です。
頬骨骨折
頰骨は俗に言うほお骨のことです。
頰骨骨折は頰骨弓単独骨折と胸骨体部骨折に分けられます。
頰骨体部骨折では、頰骨前頭縫合部、頰骨弓、上顎頰骨縫合部の3箇所の隣接骨との接合部に骨折がみられます。
頰骨弓単独骨折では、骨折線が3箇所みられV字型に陥没します。
症状
損傷部の内出血により高度な腫脹と皮下出血斑を認めます。
骨折部の骨片転位は咬筋の牽引によって内下方へ転位し、顔貌が変化してみられます。
頰骨体部骨折では、眼窩の拡大に伴って眼球が陥没、複視、視野狭窄も合併します。
頰骨弓単独骨折では、陥没した頰骨弓によって側頭筋が圧迫されて開口障害を伴います。
また、眼窩下神経損傷がある時は、上口唇にしびれを感じます。
合併症として、脳震盪、脳挫傷、視神系障害などがあります。
鼻骨骨折
鼻骨骨折は、鞍鼻型と斜鼻型に分類されます。斜鼻型の方が発生頻度は高いです。
正面から外力を受けると鞍鼻型、やや斜め方向から外力を受けると斜鼻型の骨折になります。
鼻骨骨折では、単独骨折以外に涙骨、篩骨、前頭骨、蝶形骨などの骨折を合併することもあります。
眼窩部周辺の骨折なので、耳鼻咽喉科、脳神経外科、眼科にも受診しましょう。
症状
鼻綾部が彎曲または平鼻になります。時間の経過とともに、損傷部の腫れが増大し、変形が分かりにくくなるので注意が必要です。
高度な腫脹と圧痛があり、眼窩部に皮下出血もみられます。
当然ですが、鼻血もでます。
下顎骨骨折
下顎骨骨折は、顔面の骨折の中で発生頻度が高い骨折です。
下顎骨の中でも関節突起頸部の骨折がもっとも多いです。
20代の発生頻度が高く、10代未満及び50代以上では少ないです。
症状
咬合異常があります。治療では、咬合異常を残さないことを重視する必要があります。
顔貌も変化します。
開口障害、嚥下障害、唾液の流出もあります。
骨折部の異常可動性や軋轢音があります。
骨折部の歯肉部の出血や裂傷を伴います。
合併症として、顎関節脱臼、咬合不全、下歯槽神経損傷による感覚障害、神経痛様疼痛、気道閉塞に注意が必要です。
まとめ
眼窩底破裂骨折、上顎骨骨折、頰骨骨折、鼻骨骨折、下顎骨折がある
合併症の見落としにも注意が必要
顔面の骨折は必ず専門医にゆだねること