腫瘍ができると、局所や全身にどのような影響があるのかをかんたんに説明します。
悪性腫瘍は良性腫瘍よりも重篤な影響があります。
参考にしてみてください。
目次
腫瘍による局所への影響
圧迫
良性腫瘍でも悪性腫瘍でも大きくなると周囲の組織を圧迫します。
消化管、気管、尿管、血管などは通過障害を起こしてしまいます。
また、中枢神経系への転移によって麻痺などの神経障害も起こします。
管腔障害
管腔臓器の内腔に腫瘍が増殖することで発生します。
食道では嚥下障害、腸管では腸閉塞(イレウス)、胆道では閉塞性黄疸が生じます。
気管支癌では、無気肺(肺拡張不全)になります。
組織破壊
原発部位、転移巣において浸潤性増殖により正常組織を破壊し続けます。
正常組織が破壊されると、当然その臓器の機能が損なわれます。
肝臓では肝癌が進行すると肝不全になり、骨では癌の転移により骨折してしまいます。
出血
腫瘍により血管が破壊されると出血をきたします。
感染
腫瘍組織は、壊死を起こしやすく、その部位に感染を生じやすくなります。
また、腫瘍によって血管が閉塞するとその末梢部分が循環障害となって感染が起こりやすくなります。
肝癌では肝膿瘍、肺癌では閉塞した気管支の末梢に肺炎が生じやすくなります。
疼痛
癌組織が神経に浸潤すると疼痛があります。
腫瘍による全身への影響
悪液質
癌の末期の状態です。
悪性腫瘍の増大、さらに全身への転移により体重減少、全身の消耗、衰弱、貧血をきたし、さらに皮膚の色は土色に変わります。
感染
癌末期には全身の免疫機能の低下によって日和見感染が生じやすくなります。
正常な状態に比べてかんたんに細菌感染、ウイルス感染などを起こします。
発熱
腫瘍組織の壊死物質による、発熱中枢の刺激や感染などにより発熱をきたします。
内分泌異常
内分泌細胞の腫瘍は、正常組織が分泌するよりも高濃度のホルモンが産生されます。
そのため強いホルモン作用が発揮されるのでさまざまな内分泌症状が出現します。
副腎髄質の腫瘍である褐色細胞腫では、カテコールアミンによって高血圧を呈します。
膵臓のランゲルハンス島のインスリン産生細胞の腺腫(インスリノーマ)では、インスリンが大量に分泌されて低血糖になります。
下垂体腺腫では末端巨大症が発生します。
悪性腫瘍が本来産生するはずのないホルモンを産生することがあります。
これを異所性ホルモン産生腫瘍といいます。
例えば、肺癌の小細胞癌で副腎皮質刺激ホルモンが分泌され、クッシング症候群様症状を呈することがあります。
まとめ
腫瘍によってさまざまな症状が起こる!
悪性腫瘍は重篤な影響がある!