前回から呼吸筋と呼吸補助筋の話をしています。
呼吸筋、呼吸補助筋とは、簡単にいえば呼吸のときに働く筋肉です。肺に自ら収縮する力はありません。肺を取り囲む胸郭(胸骨、肋骨、胸椎で囲まれた空間)の容積の増減につられて肺が膨らんだり、縮んだりします。
この胸郭を構成する肋骨を引き上げれば胸郭が広くなって肺が膨らみ、引き下げれば胸郭が狭くなって肺が縮むというわけです。
前回は息を吸うとき(吸気)に働く筋肉を紹介しました。今回は息を吐くとき(呼気)に働く筋肉を書いていきます。
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目次
安静時の呼吸では筋肉は働かない
まず知っておきたいこととして、安静にしている状態で息を吐くときにはとくに筋肉は働いていません。
息を吸うときには、横隔膜や外肋間筋が収縮しますが、息を吐くときはこれらの筋肉が弛緩する(もとに戻る)だけで胸郭の容積が戻るのでそれに伴って肺が縮んで息を吐いています。
強制的に息を吐くときに働く筋肉
では、強制的に息を吐くときにメインに働く筋肉を書いていきます。イメージ的には肋骨を引き下げる作用があると考えてください。
内肋間筋
内肋間筋は肋骨と肋骨の間にある筋肉です。下位肋骨から上位肋骨へ後上方に斜めに走っています。息を吸うときに働く外肋間筋のさらに深い部分にあります。
起始 肋骨上縁
停止 上位肋骨の下縁
作用 肋骨を引き下げる、胸郭の安定
支配神経 肋間神経(T1〜11)
腹直筋
俗に言う腹筋ですね。6個に割れてるやつです。骨盤部(恥骨結合)から肋骨にかけて走っています。体幹を前に倒す作用や、反対に骨盤の前縁を挙上する作用がメインですが、息を吐くときにも働きます。
起始 恥骨結合
停止 胸骨剣状突起、第5〜7肋軟骨
作用 体幹の前屈、骨盤前縁の挙上、呼気、腹圧負荷
支配神経 肋間神経(T5〜12)
外腹斜筋
肋骨から骨盤上縁などにかけて走っている筋肉です。体幹部を側屈したり、ねじったりするときなどにも働きます。
起始 第5〜12肋骨
停止 腹直筋鞘、腸骨稜、鼠径靭帯
作用 体幹の側屈、回旋、体幹の前屈、骨盤前縁の挙上、呼気、腹圧負荷
支配神経 肋間神経(T5〜12)、腸骨下腹神経
内腹斜筋
外腹斜筋の深いところにあります。外腹斜筋とは逆で、骨盤上縁などからはじまって肋骨にかけて走る筋肉です。
起始 胸腰筋膜、腸骨稜、鼠径靭帯
停止 第10〜12肋骨、腹直筋鞘
作用 体幹の側屈、回旋、体幹の前屈、骨盤前縁の挙上、呼気、腹圧負荷
支配神経 肋間神経(T8〜12)、腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経
腹横筋
内肋間筋よりも深いところにある筋肉です。内・外腹斜筋は文字通り斜めに走りますが、腹横筋は横に走ります。
起始 第7〜12肋軟骨内面、胸腰筋膜、腸骨稜、鼠径靭帯
停止 腹直筋鞘
作用 体幹の回旋、呼気、腹圧負荷
支配神経 肋間神経(T5〜12)、腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経、陰部大腿神経
息を吐くときの補助筋
息を吐くときの補助筋を書いていきます。
胸横筋
胸骨の裏から肋骨の裏へ走る筋肉です。
起始 胸骨内面
停止 第2〜6肋軟骨の内面
作用 肋骨を引き下げる
支配神経 肋間神経(T2〜6)
肋下筋
内肋間筋のひとつ深層にあり、内肋間筋の補助をします。上位の肋骨にはありません。
起始 肋骨上縁(第6〜12肋骨)
停止 1個もしくは2個上位の肋骨下縁
作用 肋骨の引き下げ
支配神経 肋間神経(T10〜11)
まとめ
息を吸うのも吐くのも意外とたくさんの筋肉が関わってる!
楽に呼吸するためにも体幹部の筋肉の柔軟性を確保しよう!