脚が痛くなると、病院とかに行って「炎症ですね〜」なんていわれることありますよね。
こちら側も「あ〜炎症ですか」みたいな感じでその場は流れますけど、炎症がどういうものなのか気になりませんか?
今回は、よく聞くけどあんまり深く考えない炎症について少し掘り下げて書いていきます。
目次
炎症とは
炎症といったら何を思い浮かべますか?
ランナー的にはアキレス腱炎、足底腱膜炎、腸脛靭帯炎とかでしょうか。あと一般的に肺炎、口内炎、虫垂炎なんかもそうですね。
いろいろあるわけですが、炎症とは、細胞、組織、臓器に傷害をもたらした種々の刺激や侵襲に対する生体の反応と、傷害された組織の修復過程のことをいいます。
炎症の4大徴候
発赤、発熱、腫脹、疼痛が炎症の4大徴候です。
これに機能障害を加えたものが5大徴候です。
炎症の原因
炎症を引き起こす原因は以下のようなものがあります。
病原微生物の感染
ウイルス、細菌、真菌、寄生虫などによるものです。
ウイルスと細菌による感染が多いです。細菌が産出する外毒素(エクソトキシン)、菌体崩壊により遊離する内毒素(エンドトキシン)やその代謝産物により傷害されます。
物理的傷害
機械的損傷(外傷)、温熱や寒冷、放射線、電気刺激などがあります。
化学的傷害
強酸、強アルカリ、腐蝕毒などによるものがあります。
炎症の形態学的変化
炎症によって組織がどのように変化していくか説明します。
①組織の傷害
まず組織が傷害されることから炎症は始まります。
これには先ほど説明した病原微生物や機械的損傷、化学的損傷によって引き起こされます。それらによって組織の細胞に変性や壊死などを生じます。
②循環障害および滲出
炎症性刺激が働くと血管運動神経が刺激されます。これにより一過性の細動脈の血管収縮が起こり血行が悪くなり組織は蒼白となります。
その後、細動脈が拡張し毛細血管に多量の血液が供給され、充血を起こすことで発赤があらわれます。
滲出には炎症性水腫(浮腫)と炎症性細胞滲出(浸潤)があります。
まず浮腫です。
毛細血管の透過性亢進により血漿蛋白成分が滲出し、組織液の浸透圧が亢進します。
また、毛細血管静水圧の上昇が起こり毛細血管から血漿が滲出し組織に貯留します。
滲出液によって傷害因子が希釈され毒素が中和されます。
続いて浸潤です。
血管の内皮細胞の間から白血球が血管外へ出ていきます。好中球、単球(マクロファージ)、リンパ球などがあります。
好中球は細菌類に対して食作用があります。好中球は急性炎症における重要な防御反応です。
③組織増生
炎症の最終段階です。
ここでは、滲出物の吸収や、変性・壊死に陥った組織の除去、消失した組織の補充をおこないます。つまり修復性の変化です。
マクロファージやリンパ球、肉芽組織の成分である毛細血管、組織球、線維芽細胞などの細胞の増生が起こります。
肉芽組織形成の初期には毛細血管の新生が起こります。これは組織の清掃・除去など修復に必要な酸素やエネルギーを供給するためです。
マクロファージによって壊れた組織は貪食・消化されます。
線維芽細胞は膠原繊維を作り、組織の欠損部を補充します。
肉芽組織は膠原繊維によって線維化し、さらに硝子化、瘢痕となって炎症が終結します。
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まとめ
炎症とは、細胞、組織、臓器に傷害をもたらした種々の刺激や侵襲に対する生体の反応と、傷害された組織の修復過程
発赤、発熱、腫脹、疼痛が炎症の4大徴候
損傷・傷害→浮腫、浸潤→組織の除去・組織の補充で炎症は終結