歩行の状態をみると、その人がどんな怪我や病気をしたのかわかることがあります。
歩行の障害は筋肉、骨、関節の疾患や神経疾患などであらわれます。
歩行の様子をみるときは足元だけでなく、上半身にも注目することも大切です。
目次
異常歩行
疼痛性跛行
一側の脚に痛みがある場合にみられます。
痛みのある側の脚はゆっくり注意深く地面に着き、接地時間は短くなります。
痛みのない側の脚は素早く前に出して歩きます。
間欠性跛行
歩いてしばらくすると歩けなくなります。
しばらく休憩すると、再び歩き出しますが、また時間が経つと歩けなくなります。
下肢の動脈硬化症(閉塞性動脈硬化症)やバージャー病(閉塞性血栓性血管炎)による血行障害や、脊柱管狭窄症でみられます。
トレンデレンブルグ歩行
悪い方の脚で片足立ちすると、反対側の骨盤が下がってしまう現象をトレンデレンブルグ徴候といいます。
それが歩いているときにもみられるものをトレンデレンブルグ歩行といいます。
発達性股関節脱臼や中殿筋麻痺などでみられます。
片麻痺歩行(分回し歩行)
麻痺のある側の脚が足関節底屈し、前腕屈曲、肩内転位を呈します。(マンウェルニッケ拘縮)
脚が伸展位のままなので、歩くとき脚を外方へ円を描くようにします。
脳血管障害などで一側性の錐体路障害がある患者さんにみられます。
失調性歩行
運動失調により、つたない不確実な歩行を呈します。
脊髄後根・後索障害でみられるふみつけ歩行(一歩ずつ足を高くあげて、足元を確かめながら歩く)や、小脳疾患の酩酊様歩行があります。
アヒル歩行
骨盤で大きく弧を描くように、上半身と肩をゆすりながら歩きます。
先天性股関節脱臼や進行性筋ジストロフィーでみられます。
尖足位歩行(鶏歩)
歩くときに足を高く上げ、つま先を下に向けたまま歩きます。
腓骨神経麻痺でみられます。
踵足歩行
尖足位歩行と反対で、つま先が上を向いた状態で歩行します。
脛骨神経麻痺などでみられます。
大殿筋歩行
骨盤を前方に出し、体幹を後方にそらした状態で歩きます。
大殿筋麻痺や筋ジストロフィーなど股関節伸展筋が弱いときにみられます。
随意性跛行
小児股関節結核では、股関節の回旋と過伸展が制限され、朝に跛行がみられます。しかし日中にはみられません。
意識すれば普通に歩けることがあります。このようなものを随意性跛行といいます。
ペルテス病でもみられます。
まとめ
疾患によって異常歩行がみられることがある。
疾患でなくても、筋力低下が原因の場合もある。