人には血管系以外にリンパ系というものが存在します。
よくリンパの流れが大事とか、むくみの解消にはリンパが〜、って言いますよね。
今回はリンパについてかんたんに説明します。
参考にしてみてください。
目次
リンパ系
リンパとは
リンパとは、毛細血管や静脈によって回収されなかった血液の液性成分のことです。
毛細血管から透過した血漿(血液の液性成分)は組織間液になります。組織間液は細胞との間でガス交換や物質交換をおこないます。
血液は、動脈から毛細血管でガス交換や物質交換を経て静脈へ流れていきます。
1日に約20リットルの血漿が組織間液として、毛細血管の動脈側から透過します。
そのうち16〜18リットルは毛細血管の静脈側から吸収されます。
残りの2〜4リットルが毛細リンパ管に吸収され、リンパ管系を介してから再び静脈系に戻るのです。
この働きによって、組織液が回収され、むくみが解消されます。
また、腸管のリンパ管は消化管から吸収した脂肪を運搬する役割もあります。
リンパ球とは
リンパは免疫機能もあります。
リンパ球という名前を聞いたがありますよね?
リンパ球は骨の骨髄で作られます。そして、胸腺やリンパ節、扁桃、脾臓などのリンパ性器官に送られます。
そこでリンパ球は増殖し、侵入物を待ち構え、侵入物を認識したら免疫能を発揮して体を守ります。
特に胸腺で成熟したものはTリンパ球といい、骨髄で成熟したものはBリンパ球といいます。
このリンパ球はリンパの流れにしたがって動き、その経路のことをリンパ管系といいます。
リンパ管とは
リンパ管は、毛細リンパ管がいくつも合わさったものです。
さらにリンパ管が合流してリンパ本幹になります。
リンパ管は途中でたくさんのリンパ節を経由し、胸管と右リンパ本幹に入ります。
関連記事 太ももの付け根や耳の後ろのしこりはリンパ節腫脹が原因かも
リンパ節とは
リンパ節はそら豆状の形をしていて、内部は皮質と髄質に分かれます。
凸面には多くの輸入リンパ管が入ります。
凹面からは1本か数本の輸出リンパ管が出ていきます。
リンパ節は皮膜で覆われ、膜のすぐ下は辺縁リンパ洞という空洞があります。
そこにリンパ管を通ってきたリンパが流れ込み、髄質などを通過して輸出リンパ管から出ていきます。
皮質の部分には、リンパ小節というものがあり、そこの胚中心でリンパ球は増殖しています。
リンパ球はこのリンパ節で侵入物を待ち構え、免疫機能を発揮します。
胸管とは
胸管は、左上半身と下半身のリンパ管を集めます。
左側では、下半身のリンパを集めたリンパ本幹(腸リンパ本幹と腰リンパ本幹)が乳ビ槽というものを形成してから胸管になります。
胸管は左頸リンパ本幹と左鎖骨下リンパ本幹とも合流します。
つまり、胸管は、左上半身と下半身のリンパを集めて左静脈角へ入ります。
残りの右上半身のリンパ管は、右リンパ本幹が集めて右静脈角へ入ります。
右静脈角、左静脈角
胸管は左静脈角、右リンパ本幹は右静脈角へそれぞれ入り、静脈系へ戻ります。
静脈角とは、鎖骨下静脈と内頸静脈が合わさる合流地点が静脈角です。
左右に1つずつあります。
右リンパ本幹は、右上半身のリンパを集めて右静脈角へ入ります。
胸管は、左上半身と下半身のリンパを集めて左静脈角へ入ります。
リンパ性器官とは
一次リンパ器官と二次リンパ器官に分かれます。
一次リンパ器官とは
Bリンパ球とTリンパ球が増殖、成熟するところです。
骨髄と胸腺が該当します。
胸腺とは
胸腺は胸骨の後面にあり、心臓の前上方にあります。
思春期に30〜40gの大きさになりますが、その後退縮し、大部分が脂肪組織に変性します。
胸腺はTリンパ球がヘルパーT細胞とキラーT細胞に分化する場所です。
胸腺はリンパ球と上皮性細網細胞の二つの細胞が存在します。
また、胸腺は皮質と髄質に分けられ、皮質には細胞が多く、髄質には少ないです。
髄質には上皮性細網細胞が変性したハッサル小体が存在します。
二次リンパ器官とは
Tリンパ球やBリンパ球が、抗原(侵入物)と出会って免疫反応を起こす場所です。
リンパ節、脾臓、扁桃、パイエル板などが該当します。骨髄は一次・二次の両方に当てはまります。
脾臓とは
脾臓はお腹の左上部にある赤褐色の臓器兼リンパ系器官です。
リンパ球の産生をおこないます。
外側は皮膜でおおわれ、一部が脾臓実質に入り込んで脾柱となります。
脾柱の間は大部分が赤く見える赤脾髄ですが、一部は脾リンパ小節からなる白脾髄があります。赤脾髄で古い赤血球が破壊されます。
胎児期には赤血球や顆粒白血球を作る造血機能を有します。
赤脾髄の中には脾洞があり、静脈に続きます。
血液の流れは、脾門から脾動脈→枝分かれして脾髄に入り中心動脈→白脾髄→脾洞→静脈です。
ちなみに血液中の侵入物は白脾髄で増殖したリンパ球に貪食されます。
まとめ
リンパとは毛細血管や静脈によって回収されなかった血液の液性成分。
流れが悪いと液性成分が残ったままになりとむくみの原因になる。
体のいたるところにリンパ節があり、免疫にも関与している。