軟骨無形成症とモルキオ病についてかんたんに説明します。
参考にしてみてください。
軟骨無形成症とは
軟骨無形成症は、四肢短縮型(上肢、下肢の短縮)の小人症をきたす疾患です。
常染色体優性遺伝疾患です。
およそ2万5000人に一人の頻度で生まれます。
軟骨無形成症の症状
生まれたときから四肢短縮型低身長、特有の顔貌(前額部の突出、鼻梁の陥凹)、三尖手が認められます。
腰椎の前弯、肘の伸展制限、O脚などが見られます。
合併症として、水頭症、大後頭孔の狭窄、環軸椎不安定性、腰部脊柱管狭窄症などもあります。
X線では、骨盤の腸骨翼の形成不良、水平な臼蓋、シャンパングラス状の骨盤腔も見られます。
また、乳児期の大腿骨近位部楕円型透過像、成人では大腿骨頸部短縮、腰椎部椎弓間距離の尾側での狭小化なども特徴です。
治療
大後頭孔の狭窄、環軸椎不安定性による脳幹や上部脊髄圧迫をなくすための手術が適応です。
大後頭孔の狭窄、環軸椎不安定性により、生まれてから1年間は、無呼吸発作、肺炎などの合併症への注意が必要です。
低身長に対して、2〜3歳以降、成長ホルモン検査で問題があれば成長ホルモン投与の適応です。
また、低身長に対して脚延長術も行われます。
思春期以降の合併症として、女性では分娩障害があります。
骨盤空が狭いため起こります。そのため帝王切開になります。
モルキオ病
ムコ多糖症Ⅳ型で、ムコ多糖のひとつのケラタン硫酸の形成障害です。
体幹短縮型の小人症です。
モルキオ病の症状
多くは1歳ごろまでに成長障害、外反膝や脊柱後弯などの骨格異常、あひる様歩行で発見されます。
知能は正常です。
注意すべき合併症に、角膜混濁、難聴、環軸椎不安定性による麻痺などがあります。
X戦では、張り出した腸骨翼、ワイングラス様の骨盤内側の形状、外反膝、骨端核の不正、舌状突出を伴う偏平椎、軸椎歯突起の低形成があります。
骨形成不全症
骨粗鬆症と易骨折性を特徴とし、青色強膜、歯牙形成不全症、四肢体幹変形、難聴などを主症状とします。
頻度は2万〜2万5000人に一人です。
4つのタイプに分けられます。
1型
軽症なものです。
骨折頻度は思春期までに数回〜数十回と症例により異なります。
約半数に難聴を認めます。
青色強膜は生まれたときから明らかですが、加齢により軽減、成人では青みがかった灰色です。
2型
最も重症です。
60%以上が生後1日以内、80%が生後1ヶ月以内に呼吸不全のため命を落とします。
3型
重症なタイプです。
胎児の段階で骨折があり、出生時より骨変形を認めます。
生後も頻回の骨折により、歩行困難になります。
脊柱変形も合併し、低身長になります。
青色強膜は出生時のみで思春期には正常に近くなります。
4型
軽度〜中等度の変形をきたします。
脊柱の側湾を伴うこともあります。
強膜は正常か、灰色がかった色です。
歯牙形成不全を認めることが多いです。
難聴を伴うものは半数以下です。
治療
バミドロネートをはじめとするビスフォスフォネートの投与により骨密度増加、骨痛減少、骨折頻度の減少が得られます。
しかし、骨形成不全症に対しては保険適応ではありません。
おむつ交換のときなどの骨折予防が重要です。
一般的に骨折の癒合は比較的良好です。
変形が高度なら髄内釘など内固定を用いた骨切り術の適応となります。
まとめ
軟骨無形成症は、四肢短縮型(上肢、下肢の短縮)の小人症。
モルキオ病は体幹短縮型の小人症。
骨形成不全症はタイプにより低身長をきたす。