腕神経叢(わんしんけいそう)とは。わかりやすく簡単に説明

健康

今回は腕神経叢について書いていきます。

腕神経叢から構成される神経は主に上肢から手部の運動や感覚を担当しています。腕を圧迫するような姿勢で寝ると腕や手が一時的にしびれることがありますよね。それはその部位の感覚を担当する神経が圧迫されることが原因だったりします。

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腕神経叢とは

C5〜T1の神経で構成される

腕神経叢は第5頸神経から第1胸神経の前枝で作られています。

 

これらの神経が吻合し合い、上肢から手部の筋肉や感覚を支配する神経を作っています。首の高さからの神経も加わっているため、首の損傷が原因で手などに感覚異常が出ることもあります。

上神経幹、中神経幹、下神経幹

まず3つの神経幹になります。

C5とC6が合流して上神経幹C7中神経幹C8T1が合流して下神経幹を作ります。

これらの神経幹は浅層と深層に分かれます。

外側神経束、内側神経束

まずは3つの神経幹の浅層がどうなるかについてです。

上神経幹中神経幹の浅層が合流して外側神経束を作ります。下神経幹の浅層が内側神経束になります。外側神経束からは筋皮神経、内側神経束からは内側上腕皮神経、内側前腕皮神経、尺骨神経が分岐します。

 

さらに外側神経束と内側神経束の分岐した残りが合流し正中神経になります。

筋皮神経(C5、C6、C7)

筋肉感覚の両方を支配しています。筋肉は、上腕二頭筋、上腕筋、烏口腕筋などの肘の屈筋を支配します。

感覚は前腕の外側を支配しています。

尺骨神経(C7、C8、T1)

筋肉感覚の両方を支配しています。筋肉は前腕の屈筋の一部、手の一部の筋などです。

感覚は手掌、手背の尺側(第4、5指や小指球あたり)を支配します。

内側上腕皮神経(C8)、内側前腕皮神経(C8、T1)

上腕と前腕の内側の感覚を支配しています。

正中神経(C5、C6、C7、T1)

筋肉感覚の両方を支配しています。筋肉は前腕の屈筋群、母子球筋、虫様筋の一部です。

感覚は第4指を堺として橈側の手掌と指です。手背も第1〜3指の指先も担当します。

後神経束

次に3つの神経幹の深層についてです。3つの神経幹の深層は合流して後神経束を作ります。

 

後神経束から腋窩神経橈骨神経が分岐します。

腋窩神経(C5、C6)

筋肉感覚の両方を支配しています。筋肉は三角筋、小円筋を支配します。

感覚は上腕の上部あたりを支配しています。

橈骨神経(C5、C6、C7、T1)

筋肉感覚の両方を支配しています。筋肉は肘関節や手関節の伸筋群です。

感覚は上腕の後内側や前腕の背側、手背の正中神経支配領域を除く橈側です。

分岐する神経

腕神経叢では筋皮神経、尺骨神経、正中神経、腋窩神経、橈骨神経の他にも多くの神経が分岐します。

肩甲背神経(C5)

大小菱形筋、肩甲挙筋を支配します。肩甲骨の内側にある筋肉です。

鎖骨下筋神経(C5)

文字どおり鎖骨下筋を支配します。

肩甲上神経(C5、C6)

棘上筋、棘下筋を支配します。肩甲骨から上腕骨の大結節についている筋肉です。

長胸神経(C5、C6、C7)

前鋸筋を支配します。肋骨から肩甲骨内側縁についている筋肉です。

肩甲下神経(C5、C6)

大円筋、肩甲下筋を支配します。肩甲骨から起始し、それぞれ上腕骨の小結節稜、小結節に停止します。

胸背神経(C6、C7、C8)

広背筋を支配します。背部の筋肉で、停止部は上腕骨の小結節稜です。

外側胸筋神経(C5、C6、C7)、内側胸筋神経(C8、T1)

大胸筋、小胸筋を支配します。

まとめ

腕神経叢はC5、C6、C7、C8、T1から構成される。

主に上腕から手部の筋肉、感覚を支配する神経が分岐する。

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