今回は肺がんについてかんたんに書いていきます。
肺がんは肺にできる悪性上皮性腫瘍です。
2012年死亡率は男性で約83%、女性で約31%です。死亡数も男性が多く、増加傾向にあります。
好発年齢は60〜70歳です。
組織型の割合は多い順に、腺癌>扁平上皮癌>小細胞癌>大細胞癌です。
肺がん
危険因子
肺がんの危険因子は、タバコ煙、アスベスト、ラドン、ヒ素、クロムなどがあります。
症状
肺がんは大きく分けて、末梢部に発生するものと中枢部に発生するものがあります。
まず、末梢に発生するのは、腺癌(最多)、大細胞癌で無症状のことが多いですが、X線で発見しやすいです。
中枢に発生する扁平上皮癌、小細胞癌は、咳、痰、肺炎、発熱などの症状がありますが、X線で発見しにくいです。
また癌の浸潤によって症状が出てきます。
胸膜浸潤では、胸痛、胸水貯留(悪性胸水)があります。
心膜浸潤では、心膜肥厚、心囊水貯留による心不全で呼吸困難、頻脈を起こします。
腕の痛み、しびれ、目が開けにくい
神経、血管が浸潤されると以下のような症状がおきます。
①腕神経叢がやられると上肢の痛み、しびれが出てきます。(パンコースト症候群)
②反回神経がやられると嗄声といって声がかすれます。
③横隔神経がやられると横隔膜が挙上します(肺肝境界上昇)。
④上大静脈がやられると、顔、首、上肢に浮腫があらわれます。
また、交感神経がホルネル徴候といって片側の眼瞼(まぶた)下垂、縮瞳、眼瞼狭小といった症状もみられます。
病期分類
肺がんの進行程度はTNM分類により表記されます。
Tは原発巣の大きさ、浸潤程度によってT1〜T4に分類されます。
Nはリンパ節転移によってN0〜N3に分類されます。
Mは遠隔転移によってM0、M1に分類されます。
診断
胸部X線・CT撮影をおこないます。結節影、肺門・縦隔リンパ節腫大、胸水を認めます。
腫瘍マーカーは補助的に用います。
小細胞癌はNSE、ProGRP
腺癌はCEA、CA19-9、SLX
扁平上皮癌はSCC、CYFRA
診断は病理所見で確定します。
治療
手術、化学療法、放射線療法をおこないます。
まとめ
肺がんはタバコ煙、アスベスト、ラドン、ヒ素、クロムなどが危険因子!
末梢部に発生するものは症状は出にくいがX線で発見しやすい!中枢部のものは症状はあるがX線で発見しにくい!
上肢の痛み、しびれ、まぶたが下がったり、目が開けにくい、縮瞳があれば注意!