今回は全身性の神経、筋疾患についてかんたんに説明します。
アイスバケツチャレンジで話題になった病気の名前覚えてますか?
あの疾患についてもかんたんにふれていきますよ。
目次
筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは
これがアイスバケツチャレンジで話題になった疾患です。
この病気はかんたんに言えば手足の筋肉の麻痺や萎縮を起こします。
また、球麻痺(延髄麻痺)によって呼吸障害や構音障害を起こします。
原因は、脊髄の側索(錐体路)や前角細胞及び脳幹細胞の変性です。
反射は亢進しますが、知覚障害や外眼筋麻痺、膀胱直腸障害はありません。
20代で発症し進行が早く、2〜3年で命を落とすこともあります。
脳性麻痺(CP)とは
出産時の脳の損傷で、進行はせず、改善はするのですが永続麻痺を残します。
原因として、出産時の仮死分娩が最も多いです。
病型として、痙直型、アテトーゼ型、失調型、強直型があります。
痙直型が最も多く、大脳運動野の錐体路障害が主体で、てんかんの合併も見られます。
アテトーゼ型は不随意運動が特徴で、大脳基底核障害に起因します。
失調型は小脳障害による運動失調を生じます。
脊髄性小児麻痺(ポリオ)とは
ポリオウイルスの感染により発病します。
蚊が媒介します。ワクチン効果によって激減しました。
発熱があり風邪のような症状の後に、運動に関与する脊髄前角細胞が侵され、筋の弛緩性麻痺、萎縮を生じます。
腱反射は消失します。
知覚脱出はありません。
脊髄空洞症とは
20〜30歳代で発症します。
脊髄灰白質の中止部が強く変化し、脊髄中心管が拡大します。
キアリ奇形、頭蓋底陥入症、脊髄損傷などに好発します。
下部頸髄から上部胸髄にかけて膨大します。
温覚、痛覚の脱出が見られ、深部覚、二点識別覚が残る解離性知覚麻痺が特徴です。
痛覚の消失のため、神経病性関節症を合併します。側湾症を合併することもあります。
脊髄癆(せきずいろう)とは
スピロヘータの感染で起こります。
近くの脊髄後根及び深部知覚、位置覚の通路後索が侵されます。
腱反射は消失します。瞳孔反射も消失します。
また、目をつむって立てません。(ロンベルグ徴候)
電撃性の神経痛様疼痛、痛覚脱出をきたします。
梅毒感染後10〜15年で発病します。
神経性進行性筋萎縮症(シャルコマリートゥース病)
3〜15歳で発病します。
男性に多いです。
腓骨神経の変性が生じ、下垂足、鶏歩を呈します。
ときに知覚も低下します。
末期には脊髄が侵され、脊椎変形が見られます。
若年性一側性上肢筋萎縮症(平山病)
20歳前後の男性に多いです。
原因不明ですが、脊髄前角の細胞の減少、変性が見られます。
一側性に上肢の進行性筋萎縮、脱力を生じます。
知覚障害はありません。
進行は数年で停止します。
進行性筋ジストロフィー
進行性に全身の筋の変性をきたす遺伝性疾患です。
重症型のデュシャンヌ型は代表的なもので伴性劣性遺伝です。男性のみに発症します。3歳くらいで発症し、転倒しやすいことで発見されます。
そして呼吸量減少などのため20歳ぐらいで命を落とします。
骨盤の筋力低下のため登坂性起立(ガワーズ徴候)や動揺性歩行がみられます。
筋力は弱いのにふくらはぎが膨隆する仮性肥大が特徴です。
血清クレアチンホスホキナーゼの著名な増加が見られます。
転倒時に頭部を保護するヘッドギアの装着を要します。
まとめ
神経が障害され筋力低下を起こす。
ときに呼吸に関係する筋もやられてしまい命に関わる。
異常を感じたらすぐに専門医へ。